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メンタル履歴書

私の一番古い感情(悲しい)の記憶は小学校に
入る前です。
母が夕飯の準備をしている時だったと思います。
原因は覚えていませんが、私は母にひどく
落胆して、黙って家を出ました。
赤いサンダルを履いて、夕餉の匂いが漂う住宅地を
行先もなく歩いていました。

四、五才の子供にとって帰る家をなくす
というのは、生きていけないのと同じことですが、
ちゃんと理解して黙って家を出たのをはっきり
覚えています。
お母さんは私を探しには来ないと思っていました。

かなり暗くなるまで外にいたのですが、
次第にこの気持ちを誰にも知られないまま、
この世からいなくなってしまうことが
酷く悔しくなり、無力で幼い自分を責めて
泣きながら家に帰りました。

帰る家がないイメージ。
長らく(なんと数年前まで)頻繁に夢になって
現れました。
電車に乗っているのに駅にたどり着かない。
いつもの帰り道なのに家が無かった。
家に帰れる最終の電車に乗り遅れる。
家に帰るはずのバスの路線がない。
家に帰れない私は、その夜寝る場所もなく
途方に暮れる。
動悸とともに酷い寝汗をかいて目を覚ますのが
常でした。

私の前半生は、ずっと” 自分の家 ”という居場所を
探す旅をしていたように思います。







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