こんな環境だからエンジニアリングマネージャーが仕事しやすいんだなぁと思う10個のこと
マネージャーとして充実した日々を送っています
カケハシにジョインしてもうじき3ヶ月が経ちます。マネージャーとして中途採用で入社するというのは初めての経験で、果たして自分の能力は通用するのだろうかという不安が多少なりともありました。結果、3ヶ月ふりかえってみて、まあよくやってるじゃないか!と実感することができています。
そして、チームメンバーのしいばさんがとても素敵な記事を書いてくれたりして「ああ、ちゃんと役に立ててるんだなぁ」と実感できる日々を過ごしています。
でもこれって自分の能力だけでなんとかなっていることではありません。EMが自信をもって振る舞い、やるべき仕事をこなし、なすべきことを成したと達成感を感じるためには、周囲の環境によるところが大きいと考えています。本稿では、EMをEM足らしめている環境とは何か、私目線でまとめています。
1. 新人としてのオンボーディングプロセスがある
中途入社というと、ある程度即戦力として活躍されることが期待されます。マネージャーとなるとなおさらで、「まずはお手並み拝見」と十分なオンボーディングがなされずいきなり戦場へ放り込まれることがあります。最近、そういう「お手並み拝見」は良くないよ、という記事がありましたが、それがバズるくらいには「中途お手並み拝見」はよくある問題です。
私がかつて受講したSL理論の研修では、ある分野でハイパフォーマンスを発揮していた人であっても他の分野にエントリーした際には一番初歩的な地点から取り組んでもらうべき、と教わりました。転職してきたメンバーをいきなり実戦投入するとうまくいかないのは、SL理論のこの考え方と符合します。
10月に入社してから、まず会社のオンボーディングプロセスが非常に手厚いものでした。コロナ前からフルリモートで業務設計がなされていたためかドキュメント・動画類が豊富に準備されており、自学自習を進めやすい環境となっていました。
2. オンボーディングに時間がかかることを周囲が理解している
とはいえ「早くキャッチアップしなければ…」という焦りはあるわけです。最初の一週間は本当にオンボーディングコンテンツを浴びるだけで過ぎていき、ありがたいけどこれでいいのか?という不安が頭をよぎりました。
そんなときにメンバーのしいばさんが「僕も最初の一ヶ月くらいはオンボーディングばっかりでしたよ。」って言ってくれたり、VPoEのゆのんさんが「オンボーディング最初にちゃんとやったほうがあとあと効いてくるんで、全然焦らなくていいですよ!」って言ってくれたり、同日入社のおぎじゅんさんと「めっちゃ大変だけど、これだけ充実してるのありがたいですね!」なんて励まし合ったりしていたからか、安心してオンボーディングに集中することができました。
(この3人に限らず、社内の誰に聞いても「最初はそうですよねー」と言ってくれる環境で、本当にありがたかったです)
3. 期待を明確に示してくれる
特にしいばさんがそうなんですが、チームメンバーが期待を明確にしてくれると、EMとしては非常に働きやすいです。
こういう調整はEMにやってほしい、こういうふうに支援してほしい。逆にここはエンジニアにまかせてほしい。
PdMからも期待が明確です。PdMとエンジニアの間に立ってなめらかなコミュニケーションパスを作ってほしい。これからのビジネスの展望をふまえて組織をどう進化させていくか考え、実現していってほしい。
VPoEからもそうです。いまこの瞬間のチームだけでなく、将来像を描いて他のチームとの連携含めて進めていってほしい。チームに軸足を持ちながら組織の全体最適にコミットメントしてほしい。採用は先手を打ってやっていこう。
マネージャーとは得てして、組織に埋没しているコンテクストを拾い上げ想像力を働かせながら動いていくことが求められがちです。そういった動きをしていくべきではありつつ、やはり期待を明確に示してくれる環境はありがたいです。
VPoEのゆのんさんとは、Delegation Boardを通してタスクの権限委譲を実施しています。定期的にそれを見直し、徐々に権限委譲を進めてくれている。可視化されていることで何が自分の手中に引き渡されているのか明確に把握できますし、なにより「おお、どんどん移譲されてる!」という実感を得ることができます。
また、ボード外でも、「これは今度からおまかせしますね!」だったり「これお願いしちゃおうかな」など、こちらの組織への浸透度を推し量りながら適切にボールを投げてくれます。このさじ加減が絶妙で、常にラーニングゾーンにいるような感覚があります。
4. 自由な動きを許容してくれる
明示的な期待をもとに行動を重ねていると、自分の中にコンテクストが形成されていきます。形成されたコンテクストをもとに自分なりに考えて行動したいという欲求が湧いてきます。そういう状態になったら自由に動くことを周囲が許容してくれる。もちろん明示的な期待にだけ答えていたときと異なり空振りもありますが、空振りの分だけ学んでいくことができます。うまくいったら自己効力感が強化されていきます。
5. 率直なフィードバックをくれる
こちらのアクションがちょっと違うな、と思ったら率直にフィードバックしてくれる環境。マネージャーというのはポジションパワーとパーソナルパワー双方を有しているため、ともすると誰からも直接意見を言ってもらえない状態に陥ってしまいます。
このチームは率直にフィードバックをしてくれます。それも、人格ではなくアクションに対して、「そのアクションは自分にとってはこう感じられる」と伝えてくれます。こういったフィードバックは学びの宝庫で、自分の価値観とメンバーの価値観との違い、組織に根付いた文化とのギャップを知ることができます。
6. 新しいことへのチャレンジに前向き
EMというのは、エンジニアリングの一線からは少し距離をおいたところに位置している存在です。だからこそ現場を客観視し、「ここはこうしたほうがうまくいくかも」というアイデアが生まれてきます。
そのアイデアに対して「試しにやってみましょうか」と乗ってくれるチームは、EMが勇気をもって新しいことを試しやすい空気を作ってくれます。
新しいことにチャレンジすることでEMが、そしてチーム自身が成長します。
今のチームではWIP制限、ワーキングアグリーメントの導入、毎週新しいふりかえり手法に取り組む、1on1の内容をオープンにするなど様々な取り組みをしてきました。こういった取り組みに前向きについてきてくれるのは、本当に心強いです。
7. コミュニケーション頻度が高い
デイリースタンダップなどスクラムイベントを軸に、エンジニアとは週次で、PdMとは隔週で1on1をやっています。VPoEとは、なんと毎日1on1をしています。このように高い頻度でコミュニケーションをとることでちょっとしたズレをすぐにキャリブレーションすることができますし、いろんなメンバーから意見を聞くことでチームを立体的に理解することができます。
また、エンジニアたちが頻繁にHuddle上でコミュニケーションをとっており、そこは出入り自由なので「ちょっと話したいことがあるな」とか「面白そうだな!」というときに気軽に乱入できて楽しいです。
8. 会社全体で協力しあう空気感がある
スタートアップにおいて継続的に、そして爆発的にビジネスをグロースさせていくためには採用は生命線になります。そんな中、採用チームがジョブディスクリプションの書き換えに協力的だったり、技術広報部門が外部発信を後押ししてくれたりと、チーム外との連携がしやすい環境が整っています。
また、エンジニア同士でLT大会を開催したり、気軽にモブの見学にいったりといった空気感は、EMがいざチームの枠を超えて協働していこうとなったときに強い味方になってくれます。
私は入社早々、他のチームに対して開発ヘルプをチーム単位で行うという経験をしたのですが、ここがなめらかに進行したのはそういうシナジーを産んでいくことに前向きなカルチャーが合ったからだと思っています。
チームメンバーたちも「俺たちのチームのことしか見ない」というような村意識は皆無で、会社全体にとっていいことなら全然やっていくよ、という空気感があります。EMとしては、ときにチームが取り組んでいる仕事の優先順位をドラスティックに変更する必要がでてくるときがあります。そういった行動をする背景には全体最適による意思決定があるわけで、チームがその点に対して一定の理解を示しているととてもやりやすい。
9. 背中を預けられる
エンジニアたちのスキルが高く、視座も高く、開発に関しては安心して任せられる状況があります。
PdMたちも顧客目線に立つことに貪欲で、薬局訪問を積極的に行ったりユーザーの実際の利用状況を見ながらプロダクトバックログを更新していったりしていて、とても頼れる存在です。
VPoEが組織全体を見渡し、その中でのチームへの期待を形にしてくれるので、安心してチームにフォーカスしていくことができます。
10. いいことをいいと言ってくれる
なにかアクションを起こしたときに「早いですね!」「助かりました」「任せてよかった!」とリアクションしてくれると、ああこれはやってよかったんだなと自信を持つことができます。
マネージャーというのはアウトプットが曖昧な存在です。そのため、自分自身で成果を実感することが難しかったりする。そのときに自分がなすべきことをなしたかの尺度は、他者からのフィードバックに依拠することになります。
四半期の評価のフィードバックなども大切ですが、日々の業務の中で小さくフィードバック・承認をもらえることでEMは安心して自分の道を進んでいくことができます。
しいばさんが書いてくれたブログとかは、その最たる例です。
おぎじゅんさんが「脳内小田中が応援してくれるから行動できる!」っていってくれたのもとても嬉しかった。
VPoEのゆのんさんも、1on1のたびに「EM任せてよかったです」「小田中さんが楽しそうにしてると、こっちもうれしくなります」と言ってくれます。ありがてぇ。
そして、こういうフィードバックや承認、感謝が一方通行のものでなく、双方向に常時発生しているのがEMにとってもチームにとってもいい状態をつくる原動力なんだろうな、とおもっています。
N=1だけど、きっとこういう環境だったらマネージャーは輝く
今回は、あくまで私のN=1の経験を綴ってきました。けれども、こういう環境があったらマネージャーは輝き安いんじゃないかなと思います。これは確信に近いものがあります。こういう環境が増えてったら、日本のマネージャーは、現場はハッピーになっていく。そうするとプロダクトもサービスもよくなって、ユーザーもハッピーになって、結果ビジネスもいいかんじになる。そういうポジティブな循環をつくっていきたいですね。
本稿がそれのささやかなきっかけになったらうれしいです。
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