ホシガリvol.2公演日誌#114「ガタガタガタガタガタガタッ」【稽古日誌】
行き帰りの道中のガタガタ具合がすごい。
恐ろしいくらいにガタガタする。
なんだかラリーでもやってるみたい。
車自体は全く持ってスピードも出てないし、激しくドリフトだってしない。
僕の近所の路面状況が悪すぎる気がする。
いつも使ってる坂道のわだちがはちゃめちゃになってる割に、車がそんなに通ってもない、一台分の雪道。
ちょっとでも止まったらスタックする可能性大と言う悪魔みたいな道だ。
ノロノロノロノロ。
ガタガタガタガタッ!!
ラジオの音も音としか機能していない。
ゆっくり、雪で決められた一台分のカーブを曲がり、坂道は終わる。
BGMが流れてるかくらいの達成感があった。
はぁー、ヒヤヒヤする。
ガタガタいうし、緊張感もある。
音楽流しても、ただの音になって何も聞こえない。
昔読んだ、短編を思い出した。
翻訳家の柴田元幸さんの海外文学の短編アンソロジー。
「紙の空から」
この中の、マグナス・ミルズの「夜走る人々」という短編。
夜、ヒッチハイクをしていた主人公は、あるトラックに乗せてもらうんだけど、トラックの中がうるさくて話をしようと思っても、全然、話が通らない。
トラックの中ので頑張って話をして、なんとかレストランに食事をする事になる。
が、レストランで食事をし始めると、全然喋らない。
っていう、だけの話。
これは、劇作家の岩松了さんの記事を色々読もうと思って探してた時に、柴田さんの記事が出てきて、岩松さんが面白がってた短編と聞いて読んでみた。
これがめちゃくちゃ面白かった。
このシチュエーションが面白い。
めちゃ笑える。
それとは全然違う状況だけど、
雪道で余裕もないしね。
ガタガタガタガタしているのと自分のヒヤヒヤさ加減を感じていると、この話を思い出して、なんだか面白くなってくる。
確かに、家に帰ると、僕は、その緊張感もガタガタも無くなって、ただぼんやりとストーブの前で黙って横になってた。