初期衝動
照る太陽が部屋を熱くし、クーラーのない空間を地獄にする。扇風機がフルスピードで回ってるのに、私の体と脳は全く動かない。
何もする気も起きないし、この狭い、四畳一間のアパートの部屋から出る気も起きない。変にコンビニに行って、何か買わなきゃ行けない気分になるなら扇風機に当たってたい。
そんな、することのない私がやることといえばyoutube。これさえ見ていれば、無限に時間が過ごせる。無限にだ。この表現は間違ってはいない。暑さをも忘れるほどにだ。
この感覚は麻薬の様に思えてずっと悪いものだと思っていた。だって、クソ暑いのに永遠と見続けられるんだ。こんなのクリスタルメスも、パープルヘイズも、場末の安女郎もなくても平気なのだ。
R-指定だって驚きだ。こんなアプリが誰にだって近くにある。
そんな悪そうなアプリからこんな音楽がおすすめされた。
ライムスター - リスペクト feat.ラッパ我リヤ
今まで、こういう音楽を聴いてこなかった私は衝撃を受けた。こんなオシャレな音楽があるのだろうかと。
そして、なによりもこの曲で私はラップの面白さをほんの少しばかり知ったのかもしれない。
日本語で紡ぐこの言葉遊びの奥深さ、そしてパワーの様なものに。日本語が、言葉がよりおもしろく思えたのだ。
むしろ今まで音だけで聴いてきた俺自身を後悔した。
このクソ暑い部屋の中で私の思いを公開する。この令和にやってきた初期衝動を。
真似してあの当時のB-boyのカッコを参考にしたりして。店頭に並ぶヒップホップのCDを買い漁って、聞いて、最高にハイになって。
イタ飯パスタに、たらこ足したmenuが定番と化した
これは迷うこと事なきラップの名曲で、私の中の初期衝動と化した、この曲の素晴らしさで興奮が増した。
日本語の面白さを知るならラップというのはいいツールなのかもしれない。
私はここでようやく言葉を扱う人々にようやくリスペクトできたのかもしれない。
西も東も北も南も、全国にいる書く人々と、読んでいる人々に素晴らしさと尊敬と愛を。言葉を知ることでようやく知ったのかもしれない。
私の中での初期衝動になったクソ熱い四畳一間。真夏の昼間のことだった。