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米以外の穀物を育てる背景
実際のところ、本当のことを知るのが怖いから正確な数字としてカウントしていないのだけれど、管理面積は6町歩から7町歩ほど。東京ドームで言えば、ドーム1.3個から1.5個くらいになる。
これは作物を植えられる面積なので、周囲の草刈り面積を含めるとさらに広くなる。中山間地なので草刈り面積が多いのだ。
その中で、稲の作付け面積は2.3町歩。
意外に少ないでしょう?
減反政策ですか?
と思われるかもしれないけれど、そんなことは全く関係なくて、ただ単に水を張れる田んぼがそれしかないというだけ。農地はたくさん借りているけれど、水路が復旧不可能な状態だったりするところが多いのです。
本当はもっともっと稲を育てたいんです!
そして、
「空いている田んぼはいくらでもあるだろう?」
と思うかもしれない。
でも、当地においては、これは嬉しいことでもあるのだけれど、70代の方も頑張られているので、米をつくれる田んぼはなかなか空いていない。
逆に、水が張れないなどで米をつくれない田んぼは空いているというのが現状。
そんなこんなで、うちでは稲を育てる田んぼが限られている状況があって、大豆も麦もソバも大事という思いもあり、米以外の穀物も育てている。
そして、その穀物はそのまま出荷することはなく、味噌、醤油、きな粉、十割蕎麦など様々な加工品にして、自分たちも食べるし、販売もして営農に貢献してくれている。
農地も守れて、この土地で育った穀物で調味料まで食べられるという素晴らしい形だと思うけれど、実際のところは米をつくれる田んぼが少ないということが発端となっている。
今となっては、蒜山耕藝は加工品のラインナップは賑やかになったけれど、それは当初から狙っていたものではなく、まず土地の事情があり、その状況を最大限に活かすために出来上がったこと。
栽培作物が増えたことはかなり大変だけれど、米以外の穀物をつくることによって美味しい加工品が食べられるようになっただけでなく、いろんな人とのご縁もいただいたので、これはこれで良かったのだろうなーと思う。
今後の課題としては、ここ数年大豆を始めとしたほとんどの穀物の収量が下がっていること。特に大豆は本当に苦戦中で、小屋束豆腐店さんに使ってもらう分はおろか、ケの醤油も仕込むことができない。
大豆、小豆、小麦の生産力がついたら、もっと世界が広がることは確信しているけれど、実力がともなわない。なんとも情けない限りである。