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AIが口コミに代わる日

■結論1:AIが口コミに勝るシーンとそうでないシーンが存在する
利巧的(実用的)な特徴を求める商材:AIが推奨するものを選びがち
快楽的(感情的)な特徴を求める商材:AIが推奨するものを選びにくい

■結論2:結論1の傾向が通じないケースが存在する

口コミってすごい

口コミの効果は絶大
そんなこと、もはや言うまでもない。

チラシに載っている商品より、「テレビで"話題沸騰"と紹介された商品」や「知人からおすすめされた商品」のほうが、よっぽど買いたくなる。

特にSNSの登場によって、口コミ効果が再認識されている。

実際にマーケティング界隈では、UGC(User Generated Content)なる概念が重視されつつある。知らんけど。
※UGC:企業によって作られたコンテンツではなく、ユーザーによって作られたコンテンツ

オススメ機能の仕組み

さて、僕はそこそこNetflixやAmazon、Youtubeを使う。
それらのTOP画面に出るコンテンツの配列は、ユーザーごとに異なる。
正確に言うと、ユーザーごとに最適化されている。
アクション映画好きなユーザーには、スパイダーマンの画像が目立つように出てくる。ロマンスドラマが好きなユーザーには、スポンジボブの画像は表示されにくい。

目当てのドラマを探す手間が省ける。さらには、自力じゃ見つけられないマニアックなYoutuberを知ることもできる。便利!
なんならTwitter、Instagram等のSNSだって、デフォルトの表示順は「おすすめ順」だ。頻繁にやり取りするユーザーの投稿が優先表示される。

じゃあ誰がこの最適化をやってくれているのか。

コンテンツ最適化の真犯人は、AI

AIは機械学習なる過程を経て、「このユーザーはアクション映画が好きなんだな」とか理解して、おすすめコンテンツを表示する。
これを幾度も重ねて精度を上げる。
さらに、そのユーザーの嗜好変化にリアルタイムに適応し続ける。

もう一回言うけど、便利!

Harvard Business Reviewの記事

おもしろい研究記事を見つけた。

内容の結論は、このnoteの冒頭「結論1」に書いた通り。
下記に再度掲載。

■結論1:AIが口コミに勝るシーンとそうでないシーンが存在する
利巧的(実用的)な特徴を求める商材:AIが推奨するものを選びがち
快楽的(感情的)な特徴を求める商材:AIが推奨するものを選びにくい

パソコン・ビジネス旅行・ドキュメンタリーなど、実用的な商材はAI推奨情報に信用を置かれやすい。
ワイン・家族旅行・ホラー映画など、感情的な商材は人の口コミ推奨情報に信用を置かれやすい。

あくまで傾向ってだけ。へーって感じ。

持論

この結果を見て、思ったことが3つある。

1つ目は、「結局その人が、その商材をどういう目線で選ぼうとしているか次第」ということ。
デザインを重視してMacbookを買う人が居たり、ワインを合理的に選ぶ人(ソムリエ)が居たり。
何を重視して選ぶかは、商材ごとではなくユーザーごとで変わる。
つまり、最適な情報提供をするにはユーザー単位の最適化処理が必要、ってことを再認識できる。

2つ目は、「デジタルコンテンツにおいては、すでにAIが口コミを勝っている」ということ。
先ほど出したUGCという概念を再度引っ張り出す。
つまり、「赤の他人やフォローしてるユーザーが"これ良いよ!"って言う商品に人は魅了されやすい」という傾向を活用したマーケティングが出回っている。
じゃあ誰がコンテンツ表示を指揮しているか?
フォローユーザーを選んだり、ググったり、Youtubeのサムネイル画像をクリックしたり…。それらのアクションを起こすのはユーザー自身。
でも、そもそも選択肢を提供しているは、AI
「おすすめのユーザー」に出てくるユーザーをフォローしたり、裏でランキング付けさらたページから良さげなタイトルをクリックしたり(SEO)、勢いがあるYoutuberの目立つサムネイル画像をクリックしたり…。
自分で選択しているつもりなだけで、その選択肢はすべて「AIのおすすめ」

3つ目は、「この研究の結論、日本人には通用しないかも。日本人は、感情的に選択しやすい傾向があるのかも」ということ。
日本の法人営業は、ゴルフコンペだったりボウリング大会だったり、飲みにケーションだったり。日本独自の営業文化が存在する。
「非公式な場のノリで決定が左右される」ということが、潜在的に存在する(いや海外でもロビー活動とかあるけど、あそこじゃ現金が回るし外交要素が関わる話も多大にあるからちょっと違うなと)。
トップの決定がアンオフィシャルな場で左右される構造下では、合理性の優先度がめちゃくちゃ低くなるケースがある。
昔からの友達だから、とか、一緒に桜を見た仲間だから、とか。
合理的でない決定のもと生まれる商材・サービスは、合理性よりも感情性が強まる恐れがある。
さらにトップがそんな決定方法をとると、その部下たちの営業スタイルもトップに寄る。「いやそこを何とか~」「こんど飲みに行きましょう」とか顧客に言ったり。あと消費者はセールに弱い。●●%OFFとか、プレセールとか(海外もそうだろうけど)。
挙句の果てに、需要のない無駄な商品を、広告やPRで無理やり売り上げを出す。そして利率はピョロン。薄利多売。
どこの国会の話をしているんだか。

けっきょく言いたいこと

■口コミとAIの両方をうまく活用している企業が勝つ時代だね
(どっちかだけを活用して売上を維持するのは、リソース的にも厳しい)

■自分で選んでいるつもりな商材がたくさん存在する時代だね
(自覚する必要がないと思う人は別に気にしなくていい。それで良いなら)


AIが口コミに代わる日は、もう既に来ていたのだ。


はなまるうどん食べたい。

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