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2022年3月の記事一覧

書評:渡辺努著『物価とは何か』 (先行公開! 経セミ2022年4・5月号より)

書評:渡辺努著『物価とは何か』 (先行公開! 経セミ2022年4・5月号より)

評者:青木浩介(あおき・こうすけ)
東京大学大学院経済学研究科教授 

第一人者が語る、
謎に満ちた奥深い「物価の世界」 物価研究の最先端を牽引する渡辺努東京大学教授による非常によい一般書である。書名が疑問形であると同時に、各章名も疑問形である:

第1章「物価から何がわかるのか」

第2章「何が物価を動かすのか」

第3章「物価は制御できるのか」

第4章「なぜデフレから抜け出せないのか」

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金融規制と危機を理論・実証の両面から(植田健一『金融システムの経済学』より)

金融規制と危機を理論・実証の両面から(植田健一『金融システムの経済学』より)

このnoteでは、東京大学教授の植田健一先生による『金融システムの経済学』の「はしがき」とあわせて、内容を紹介していきます。

本書は、主に戦後の金融システム(金融制度や規制)の歩み、自由化・国際化と経済成長の関係を振り返り、それを読み解くための経済学の理論と実証研究の成果を学びながら解説していくものです。

さらに、そこで学んだ経済学の原理を用いて、金融危機や金融のデジタル化、フィンテック興隆の

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経済学と経営学の交差点(経セミ2022年4・5月号付録)

経済学と経営学の交差点(経セミ2022年4・5月号付録)

新年度最初の『経済セミナー』2022年4・5月号、特集は【「職場」の経済学】です!

いわゆる「日本的経営」の機能不全、長時間労働の是正とワークライフバランス、職場や労働市場における大きなジェンダー格差など、日本の企業・組織や働き方について、これまでさまざまな議論が交わされています。

さらに2020年以降、新型コロナの影響もあり、デジタル化の遅れやテレワークなどの新しい働き方への対応を通じて、問

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将来予想のインパクトを測る:連載「実証ビジエコ」第7回より

将来予想のインパクトを測る:連載「実証ビジエコ」第7回より

『経セミ』2021年4・5月号から始まった連載、上武康亮・遠山祐太・若森直樹・渡辺安虎「実証ビジネス・エコノミクス」。気づけばもう第7回!

今回からはなんと、新章に突入です!!

今回以降の大きなテーマは、「人々や企業の時間を通じた意思決定を考える」こと。今回は、その中でも最もシンプルなモデルである、単一の意思決定者(エージェント)が、将来の予想までをふまえて、現在の行動を決めるというものです。

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