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-映画館へ行こう 7月~ 邦画編-

 関西圏に住んでいると観ることの出来ない映画が多くて哀しい。たまに東京に行くと色々やっているなと羨ましくもあり。コロナの時期、洋画の封切りが少なかったので邦画をよく観るようになった私。
で、今はどっぷりハマっている。

「僕が生きてる、ふたつの世界」監督:呉美保 脚本:港岳彦 
   原作:五十嵐大 

 この原作者の五十嵐さんがコーダと呼ばれる耳が聞こえない親から生まれた健常者。この五十嵐さんを吉沢亮が演じているのだが、30歳にして中学生をそのまま演じられる役者ってびっくり!母親役の忍足亜希子さんは聴覚障がい者の女優さんで、多数の映画に出演している。彼女のご両親は健常者なので、この映画とは逆になりますね。
 自分とは違う親、突き放したいけど出来ない。不満を抱えつつ成長していく過程を静かに演じている吉沢亮は素敵でした。自立して自分の立場的なもの、こと、を受け入れて母親に優しさを見せる場面は泣けました。反抗期なんて可愛いもので家にはちゃんと帰ってくるし、聞こえない母親に帰宅を知らせる点灯スイッチは忘れずにカチャカチャするし(視覚に知らせる)、基本いい子。

 家を出て数年後、父親が倒れた知らせを受け病院駆けつける場面が個人的に一番感動した。母親の声をほとんど聞いたことがない大。一番頼りにしていた夫(今井彰人)が倒れて不安に押しつぶされそうになったところへ息子が駆けつける、その時に緊張の糸が切れて声を出して泣き出す。自分の声の音量が分からないので感情のままに大音量で叫ぶ母をみた大。驚くと同時に僕が守るみたいな表情が演技から見て取れて、忘れられない場面になった。
 最近このような映画、ドラマが多く作られているが流行でなく普通になればいいなと思う。手話を理解、話す人が増えればいいなと手話検定2級保持者は思う。(次は、準1級 ヨシッ)

「まる」監督、脚本:荻上直子 

 友人に誘われて観た映画、が、監督があの「かもめ食堂」などを撮った人で封切りが待ち遠しくなった。
アート製作会社に勤める“さわだ”(堂本剛)は、ある雨の日に自転車事故にあい利き手を骨折してしまう。仕事が出来なくなりどうするかなぁと白いキャンバスを広げる、と一匹のアリがやってくる。そのアリを囲むように○を描く、最初は閉じ込められたアリも円の中から出ていく。そして、また囲むように〇を描く。○だらけになったキャンバスを丸めてほかの物と一緒に知り合いの骨董品屋に持って行く。その一つが「円相」というものになり評価が爆上りしてとてつもない価格になって、さわだの人生が大きく変わりそうになる。

 彼の映画は初めてみたが、友人曰く“演技が出来るから人気が高い”とのこと。ただ、封切り初日に行ったのに鑑賞者が少なかったのは何故?と思った。
 作品自体は面白く、少し考えさせられる映画でした。脇を固める俳優陣が良くて、皆様ハマっていました。特に、小林聡美が上手い!片桐はいりが出ていたのだけど、テロップが流れて “えっ?”と分からなかった。たぶん、あの人。。。⁈てなりましたよ。
映画を観て、「円相」が気になった方は調べてみて下さい。一つ賢くなるかもです。

「アイミタガイ」監督、脚本:草野翔吾 原作:中条てい

 黒木華が主演の映画、このタイトルの意味が分からなかったのですが、皆様は聞いたことがある言葉ですか? 「お互い様」「持ちつ持たれつ」みたいな意味になるようです。
 ウエディングプランナーの仕事に就いている梓、付き合っている彼氏(中村蒼)はいるが踏ん切りがつかず独身のまま。そんな時に親友が事故で亡くなる知らせを受ける、現実を受け入れられない梓は携帯のトークにメッセージを送り続ける日々。遺品のなかの携帯が鳴り続ける日々。亡くなった親友、叶海(藤間爽子)の母親が簡単にロックを解除してそのメッセージを読む。幼馴染みなので両親のことはよく知っている。死んだことは分かっているが受け入れられない事を親友の両親は理解している。

 梓の両親は離婚をしていて、一番近い身内は父方の祖母(風吹ジュン)時間があれば訪ねて様子を見ている。ヒョンな事からある日彼氏も一緒に行くことになった。そこでちょっとした事故がお隣さんで起き「アイミタガイ」という言葉を聞く。
 そこから色々話が展開していきハッピーエンドになる。このハッピーエンドは梓だけでなく、残された親友の両親のこれから、心に辛い記憶を持ったまま灰色の日常を送っていた中流家庭の老婆(草笛光子)の生活など、亡き親友が残していった宝物のピースがひとつずつ繋がり大きな愛、幸福になった

 前にも言ったのですが、バイオレンスものが苦手の割には北野武監督の映画は何故か観れる。カメラワークがいいからだとは思うのですが、今回紹介した3作品もこのカメラワークがいいのでおすすめです。

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