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理解されない幸せを握りしめて
わたしは幸せだけれど、この幸せは理解されにくい形をしている。多くの人たちは異質なものを受け入れないし、幸せすら定型にはめたがる。
凪良ゆうさんが描く人たちは、いつも常に狭間にいる気がする。
この社会に生きている“私”と、ひとりの人生を生きる“私”。
幸せの形がいつも微妙に世間や大衆、マジョリティから外れてしまうが故に、苦しんだり悩んだりする登場人物に感情移入してしまうのは何でだろう。
うる波ちゃんは大好きな鹿野さんが死んだあとどう生きるのが正解だったんだろう?
きっと多くの人は言うと思う。
「悲しんだり、寂しくなって当たり前だと思う。だけどゆっくり彼の死を受け入れて、前を向いて残りの人生を生きてほしい。」
だけど、うる波ちゃんは頑なに彼の不在を受け入れなかった。
それを選んだ、といった方がいいかもしれない。
彼の不在を受け入れない、ということを決めた、と言ってもいい。
さあ、それを誰が否定できるだろうか?
覚悟してみる夢には、神様だって手出しできない。
“正しさ”と“幸せ”ほど混じり合わないものはない気がする。
突き詰めれば、自分は「どの夢を見ながら生きるのか」を選びながら生きるしかないし、他人の夢を自分は口出しできない。
個人の幸せと社会の物差しに、常に鋭い視線で臨むのが凪良ゆうさんの魅力だと感じる一冊です。
ぜひお手に取ってみてください。
Written By あかり
アラサー女