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家族の望みはどんな形をむかえるのか 【望み】
そう望むのは悪いことですか?
【本の基本情報】
〇ジャンル:小説
〇本の種類:文庫本
〇著者名:雫井 脩介
〇出版社:角川文庫
■「望み」あらすじ
思春期の息子と娘を育てながら平穏に暮らしていた石川一登・貴代美夫妻。
9月のある週末、息子の規士が帰宅せずに連絡が途絶えてしまう。
警察に相談した矢先、規士の友人が殺害されたと聞き、一登は胸騒ぎを覚える。
逃走中の少年は2人だが、行方不明者は3人。
息子は犯人か、それとも・・・・・。
規士の無実を望む一登と、犯人でも生きていて欲しいと願う貴代美。
揺れ動く父母の思い――――。
心に深く突き刺さる衝撃のサスペンスミステリー。
※裏表紙より引用
■それぞれの「望み」
本書は、人の「望み」について書かれている作品です。
自分の息子が犯罪に巻き込まれ、加害者か被害者かわからない状態で、息子の帰りを待つ家族。
そんな家族が持つ「望み」。
それぞれの望みには、それぞれの理由があり、それぞれの中で正解を探しながら望みを持っています。
そう望むことに罪悪感をもったり、望みが叶うことで、自分たちの生活がどう変化してしまうのか
そう望みたくはないが、望んでしまう。
そんな家族の葛藤がリアルに表現されています。
まさに現実に起きたような感覚に陥るような作品です。
■「望み」を読んで!まとめ
本書は、読んでいる途中から深く考えさせられる内容になっていました。
息子のことを思う夫婦、兄を思う妹。
この家族の思いが、望みが実にリアルに表現され、この世界に引き込まれて行き、そして自分の身に同じようなことが起こった時、その望みはどんなふうに表れてくるのかと考えました。
どちらの望みが叶ったとしても、とても辛く厳しい人生が残っている。
せめて息子が無事であるようにと願う家族。
しかし、無事であるということはだれかを傷つけているかもしれない。
息子の無実を望むが、その望みが叶ったときは息子は無事ではないかもしれない。
加害者でもいいから、無事でいてほしい。
そう願うことは、被害者側からすればとんでもないことかもしれない。
しかし、そう望まずにはいられない。
人間の、親の、家族のリアルな心の中を描いた作品です。
深く考えさせられ、その結末に涙が止まりませんでした。