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詩 / 浜辺(マーク2)

詩 / 浜辺(マーク2)

望み遥けき初夏の浜辺に

わたしは一つの思想を思い出そうとしていた

この詩の主人公は人類です

わたしは人類の最新版のひとりです。

土地訛り、トチナマリ、わたしはけったいな言葉で話し出そうとしている

あほらしいこと言わんでええねん、ウツクシイことばっか喋ってようや

言葉商いしとりますさかい、掬い出さなあかん、人生を

運命を。ウチは祭りが好きや、祭りだけを信じとります

よいどれ船の行く先

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詩 / 賭け

詩 / 賭け

せや、あんた、賭けをしようや
いまから夏になるやろう、花が咲くやろう
その花を愛や誠というものに変えられたものが、勝ちや。

炎天下、お陽さんはえらい過酷な温度で、人を照らすやろう
沸き立つ血が、汗が、俺たちにあたらしい愛の形を見せるやろう 

(そうか? あたらしい愛とはなんや?)

ヒマワリひとつ、旗や棍棒のように持って
天使に向かって振り下ろす
花弁が散って散ってきれいやろうなあ!

天使は

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詩 / 予言

詩 / 予言

ふるえそうな体で以って

あたらしい思想を生み出そうとするわたしは

せめて生を諦めることはしないと決意して

いばらの生い茂った沃野を疾走した。

わたしは 自分の言葉で自分の詩を書こうとして

嘲笑もかまわず生きるつもりでペンを執った

生に対して全面的に肯定的な詩人であろうとして

人間のかなしみを祈りに変えるために生まれてきた。

天使は、すでに顕れていることを信じ

星々の光る月のない夜

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詩 / ラブ・ソング

詩 / ラブ・ソング

忘れてしまうのでしょう?
あなたが生きていたことも
初夏  ガキのように大声で歌い
エレキギターを掻き鳴らした夜や
血の傾くのにまかせて  まぐわったこと
あなたが  生きていたことを。

忘れてしまうのでしょう?
私が生きていたことも
初夏  全霊を賭けて詩を書いた
死者とも繋がれると信じ切って  夜は降霊の時間だった
血の傾くのにまかせてあなたを愛した
わたしが  生きていたことを

良い

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詩 / 神さまのために

詩 / 神さまのために

うつくしい天使は夏の間だけ街に舞い降りて

かなしみを背負ったひとに祝福を授けるのです

ワンピースを着た若い天使は

生まれたときの その前のことを考えているのです。

心が貧しいことは、いいこと?

埋まらないココロや、食べても食べても満たされないお腹を

抱えながら生きることは、いいこと?

天使さま、子供にも馬鹿にされることは、いいこと?

裏切られたココロは、どこに行けばいい?

うつく

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