
【エッセイ】本を買ったあとの至高
久しぶりに本を買った。文庫本を2冊。引越しをする際に、400冊以上あった蔵書を処分してからおそらく半分以下になった。正確には数えていないので確定数は分からないが、かなり減らした。私は積読タイプなので読んでいない本も今持っている中には多いが、どうしても自分したくないものだけ残した。
装丁で選ぶタイプなので、片っ端から買っていたが、引越しを機にもろもろ改めたのだ。とりあえず気になったものは全てメモに貯めて、購入するのは絶対に買うと決めている作家さんのものだけを買うことにした。何事も選択だ。今度作家さんの話については時間がある時に書こうと思っている。
本を買う時の私の至高の時間は、ブックカバーを付ける時だ。家の蔵書はこれから全てクリアカバーにする予定だが、購入する際は紙のカバーを必ずつける。キャッシュレス決済やセルフレジが増えてき近年はまさに至高の時間なのだ。
それまでは必ず店員さんにつけてもらっていた。ただ、どうしてもこだわりが強く、つけてもらう間ものすごく嫌な目を向けていた自覚がある。本屋で働いた経験もあるので、次から次へと来るお客様に対応するためにはスピードも必要だ。ものすごく時間をかけてカバーを付けているわけにいかない。カバーの付け方が気になるのなら紙だけ貰って家でやれ、というご意見はごもっともなのだがカバーをかける場所がない時もあったし、カバーをかけてもらうのを断り、紙だけ貰い、これみよがしに近くの台でカバーをつけるのも忍びない。家までは待てない。だって、本来のカバーが折れたりしたら嫌だから。
うん、なかなかにわがままであるが、譲れない場所なので仕方がない。
という訳もあり、最近のシステムは本当にありがたい。
まずサイズのあったカバーを取り出し本を置く。この時点でアドレナリンがドバドバ出ている。本もそうだし紙の匂いや指の感触が最高に好きだ。
背の部分の折り目をつけて、ひっくり返してカバーをつけていく。この時のなんとも言えない高揚感は伝えづらい。カバーつけの変態と言われても相違ないと思っている。
あっという間にその時間は終わってしまうのだが、袋に入れるまでのわずかな時間、その至高に浸るのだ。
同じように思う人と出会ったことは無いが、私と同じような人種がどこかの片隅には存在しているのではないかと、いつも考えている。