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ここまでわかった犬たちの内なる世界 #24 犬はどのようにして人の心を奪ったのか(続編)
最終更新 2025年2月4日 ✔️〘イヌ属が共有する「子犬のような目」をめぐる2つのシナリオ〙の項を加えました
↓このコラム投稿時に見逃していた興味深い研究を”発掘した”筆者の驚きと反省↓
いやー、びっくりです。昨夜発見しました。
— 堀 明 Akira Hori 🐾「ここまでわかった犬たちの内なる世界」ただ今執筆中! (@akirahori26) February 4, 2025
というより不覚にも論文の存在を知りませんでした。
コヨーテも持っているとは......!
〘イヌ属が共有する「子犬のような目」をめぐる2つのシナリオ〙の項を加えました(有料エリア)
ここまでわかった犬たちの内なる世界 #24 https://t.co/ktgy44F5sE
↓このnoteを読んでくださった方の感想↓
推し❗
— へちまこ7 (@Chicoli07) December 7, 2024
一読以上の価値あり❗ https://t.co/6NlgNknD0b
続編も読みごたえタップリでした👏 視線と白目の話は興味深いですね~
— タローの主@犬と歩けば棒にあたる (@taronushi) December 7, 2024
僕は犬対犬の動きにおいて犬同士の視線は注目しています。犬は意図して見るのが一瞬の時もあれば、意図して瞬時に視線を外したりします。犬たちは社会距離を平和に保つべく、ボディランゲージと併せて視線も使い分けていると https://t.co/ugcByHO3LV
犬の顔
まずは、下の写真をごらんください。
このバラエティーに富んだイヌたちの表情を見て、あなたは何を思いますか?
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これらは堀明フォトオフィスのホームページのギャラリーに展示されている「Face」というページのスクリーンショットです。
どこかしら”人間くささ”を感じませんか?
💁🏼うちの犬はもっと人間くさい顔するよ。
犬と暮らしている皆さんの中には、そんな人もいらっしゃることでしょう。
その表情を撮影されている方は、よろしければ 筆者のx(Twitter)のアカウント@akirahori26をフォローしてください。そしてSNSでその写真や動画をUPしてください。(ご本人承諾のもとで)このnoteで紹介させていただくかもしれません。
その際はハッシュタグ #dogface または #ここまでわかった犬たちの内なる世界 を付けてください。
”人間らしさ”の秘密
前回の#23で、オオカミとイヌの顔のミオシン(筋肉繊維)を比較した 直近の研究について紹介しました。
研究によってイヌは 進化の過程で 目と口の周りの筋肉を変化させたことが明らかになりました。
顔の筋肉構造については、オオカミとイヌより人間とイヌ方が似ていることもわかりました。 最終項のオオカミ・イヌ・人間を比較したビジュアル資料をご覧になった方は、両者のそっくり感にきっと驚いたことでしょう。
前回のコラムを書きながら、2本足の犬(私のことです)の内側に、ある情景がまざまざと蘇りました。
スコットランド生まれのゴールデンでも厳冬の八ヶ岳で過ごすにはストーブなしではキビしいようだ。年老いた婆さんのようにストーブの周りにちょこんと腰をかけ仲良く並んで暖を取るメス犬たちを見かけると、思わず笑いがこみ上げてくる。
これは筆者が最初に上梓した『大草原のドッグパラダイス』(双葉社)という本の中の一節です。 まさしくこの場面が目の前に迫ってきたのです。
なぜ思わず笑いがこみ上げてくるのか?
そのしぐさと顔立ちが、いかにも”人間くさい”からです。気がつくと、筆者はこのイヌたちに、人間語で語りかけていることがありました。ふとしたことから、かれらが人間だと半ば錯覚したかのように、言葉を発してしまうのです。
自分の声を自分の耳で聞いて、やっと気づくのです。
あっそうだった。かれらは犬だったんだ(笑)
顔の筋肉組成のそっくり画像を見たとき、ピンときました。なるほどな。これだけ人間に似ていればそりゃそうなるわな、と。
ゴールデンレトリーバーがなぜ人間くさいのか。 その謎の1つが解けたような気持ちになったのです。 もちろん”人間らしさ”を感じるのはゴールデンだけではありません。
ここであなたに質問です。
上の写真のグループAのブルドッグとブリタニー、グループBのボーダーコリーと サルーキーの顔をご覧ください。とりわけ人間くさく感じませんか?
この4匹にはある共通点があります。 その共通点とは、何だかわかりますか?
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目は口ほどにものを言う
イヌの”人間らしさ”を醸し出すのに、ひと役買っているのが、白目の存在です。
そうです。この4匹は、 白目を露出させています。
人間は、明確な白目を持つ唯一の動物であり、そのおかげでどこを見ているのか、(場合によっては)何を考えているのかを簡単に見分けられます。目は口ほどにものを言うというやつです。
他の霊長類の強膜は、視線を隠すために黒ずんでいます。 霊長類以外の多くの動物も、強膜としての白目にあたる部分は全く白くなく、色素沈着しています。
イヌの白目も色素沈着していますが、わずかながら白く見える部分があります。
近年の解剖学的研究で、イヌの顔には、オオカミにはごくわずかしかみられない外側眼角後引筋(RAOL)が存在し、それを利用していることが突き止められました。(オオカミの場合、RAOLは独立した筋肉ではなく小さな腱として存在しています)
RAOLは目の外側の縁に沿って走っており、この筋肉を使うと白目をより多く露出させられます。これが、人間から見るとイヌの表情が、時に人間らしく見える要因になっているのです。
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筆者は、イヌたちの”露出した白目”を目の当たりにすると、心に訴えかけられているように感じるのですが、皆さんはどうでしょうか?
イヌの”人間らしさ”を示す別の研究もあります。
物心両面の応援は、いつでも歓迎しています。 皆様からのチップは、より良い作品づくりのために自由に使わせていただきます。