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ここまでわかった犬たちの内なる世界 #23 犬はどのようにして人の心を奪ったのか

最終更新 2024年12月25日
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あるニュース記事

まずは、次のニュース記事をお読みください。 解説も含めて2分で読めます。

実際、東京都周辺には犯罪「ホットスポット」ができつつあると指摘する声もある。先週、ある警察署管内では11件の暴行事件を記録している。特に悪質な暴行の1つは、目撃者によれば、 身元不明の犯人は2カ月齢の子犬を野球のバットで殴打した。犯行の数分後に警察官が現場に到着した際、子犬は脚の1本が折れ、複数の裂傷があり、意識のない状態だった。この事件の容疑者は逮捕されていない。


と、こんなふうに振られると、ギョッとされた人もいらしゃると思いますが、実はこれはある大学で行われた社会学の心理テストです。

人間の被害より犬の被害に同情する人々

元ネタは、アメリカ社会学会(ASA)の第108回年次総会で発表された「新しい研究」で、18〜25歳の240人の学生を対象に、「1歳の子供」「30代の大人」「子犬」または「6歳の犬」の殴打に関する4つの架空のニュース記事の1つをランダムに読ませました。 1歳の子犬を「2カ月齢」に修正したのを除いて、話はほとんど同じです。ちなみに、元記事の犯行現場は東京ではなくボストンです。

記事を読んだ学生たちはアンケートに答え、被害者にどんな気持ちを抱くか同情の度合いがそれぞれ評価されました。

結果は、学生たちは、虐待を受けたイヌに対して、人間の大人に対するよりも共感を持っていることが顕著になったそうです。

「子供」と「子犬」に対する共感の違いは統計的に有意ではなく、社会学者たちは「共感を引き出すことに関しては、年齢は種よりも勝っているようだ」と述べています。

しかし、何より興味深いのは、この仮想虐待事件に直面した際、人間の子供が虐待を経験しない限り、学生たちは人間の被害よりもイヌの被害に対してより多くの苦痛を感じたことです。研究にあたった社会学者の論文の表現を借りれば、イヌを「毛皮を被った赤ちゃん」として捉えている人々が少なくないということです。

こんな話もあります。
2014年にアリゾナ州フェニックスでピットブルが4歳の少年を襲い、少年が数年にわたる再建手術を必要とする怪我を負った事件では、ソーシャルメディア キャンペーンによって弁護団が結成され、イヌを「安楽死」から救うための資金援助が行われました。数週間のうちに、「ミッキー」という犬専用のFacebook ページには 4 万件を超える「いいね!」が集まったのに対し、少年を支援するページにはわずか 500 件しかなかったというのです。

この話は、Facebook の「いいね!」は、誰がどのようにストーリーを共有したかによって決まるという 点を考慮してもなお、 人々の関心や同情が、人間より犬に向けられている逸話的証拠と言えるのではないでしょうか。

今回のテーマは、タイトルで示したように、 犬はどのようにして人の心を奪ったのかです。 この謎解きの1つの鍵になるのが、人々が「毛皮を被った赤ちゃん」としてイヌを捉えていることです。

犬は子供のまま大人になる ?


ここからは、”毛皮を被った赤ちゃん説”について少し掘り下げて考えてみましょう。
犬はおとなになれないオオカミだ。従来から、こう たとえられることがあります。確かに、イヌの外見は、 一部の犬種を除いておとなのオオカミより子供のオオカミに似ています。

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