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舞台「海をゆく者」を観てきたんだな

*再再演なのでネタバレ含んでます。

舞台「海をゆく者」

を観てまいりました。


5人の実力派男優による舞台。


それも全員60代以上

もともとはアイルランド人作家の舞台で、2009年と2014年にも上演していたらしい。

今回の高橋克実さんの役を吉田鋼太郎さんが演じている以外の4人は同じで、初演50代…。

なんか凄い。



全員が全員、現在は舞台以外のテレビや映画でも活躍しているけれど、もともとは舞台出身のベテランばかり。

大谷亮介(69)= 串田和美が主宰したオンシアター自由劇場出身

平田満(70)= 「劇団暫(げきだん しばらく)」〜劇団「つかこうへい事務所」(旗揚げに参加) 出身

小日向文世(69)= 串田和美が主宰したオンシアター自由劇場出身

高橋克実(62)= 劇団「離風霊船」出身


浅野和之(69)= 安部公房スタジオ〜野田秀樹主宰の夢の遊眠社出身



コレって

かなりゴージャスなキャスティング。


渋いけどね。


 


お客様達はよくご存知です。

満席でした。

いやあ、失礼ながら、空席あるんちゃうか?と危惧したんですよ、よく知らなかったもので。再再演ですしね、ファンが付いているってこう言う事を言うんでしょうね。

観客層はかなり高かった気がします。

個人的には、チケットの値段を安くして、若い層に観てほしいなぁって思ったんですけどね。いや、関係者じゃないですけどね、この面子じゃないですか、若い俳優志望者たちとかね、学生とか…。


まあ、内容も渋いんですけど。
渋いって言うか、shabby

オフィシャルサイトから



原題をThe seafarerというらしい。意味は「船員」。


「船員」とは関係ないけどね。同じタイトルのイギリスの古い詩があって、それから付けられたらしい。

本戯曲を書いたコナー・マクファーソンは、2023年現在52歳。意外と若いので驚いた。

2006年に発表されているので、35歳の時に書き上げている事になる。2006年と言うと、僅か17年前。


今回、役者達が全員60代以上という事なのだが
(初演は50代だけど、それでも高い)、

あらすじからは、

アイルランドの鄙びた海辺の町が舞台で、出演者はほぼアル中みたいなところの設定で特に年齢について書かれてない気がするが、

オリジナルもこんな年齢設定なんだろうか?

と気になってしまった。で、調べる。


リチャード役=ジム・ノートン(現在、85歳、って事は、当時68歳)

シャーキー役=カール・ジョンソン(現在、75歳、って事は、当時58歳)

アイヴァン役=コンリース・ヒル(現在、60歳、って事は、当時43歳)

ニッキー役=マイケル・マッケルハットン(現在、61歳、って事は、当時44歳)

ロックハート役=ロン・クック(現在、75歳、って事は、当時58歳)

英語版Wikipedia参照


若干の差はあるものの、

オリジナルもやっぱり年齢高くて渋かった!


戯曲を書いた本人が若いのに(今は52歳だけど)、

登場人物は年齢高めで、
生きる環境は貧困アル中、
寂れた地域
…みたいな。

それで喋りまくる
ストーリー展開は、
ミステリアスな部分を含みつつの
基本的にブラックコメディ


ん?


どっかで見た事がある感じ…。


あ!


コーエン兄弟!


最近見ないけど、出てきた当時の感じは、

鄙びた街を舞台に、
社会の隅に生きてるようなツイテナイ人たちが登場人物で、
その年齢も決して若くない。

内容はミステリアスな部分を含むブラックコメディ!


そして、コーエン兄弟も当時30歳前後


イエエエエイ!

ちょっとスッキリ。


まあ、こんな事考えたのワタクシぐらいでしょうが…。
何の必要性もないし。


舞台の方に戻ると、


小日向文世さん演じる謎の男ロックハートの正体がわかるあたりからの休憩挟んでの後半は、ただただポーカーして喋ってるんだけれど、そこにも色々起こって、絶品でした!



再再演なので言ってしまうと、


ロックハートは悪魔で、20数年前にシャーキーとは出逢ってて、その時にポーカーをしていて悪魔は負けて、その時の約束通り、舞い戻ってきて、ポーカーの再選を申し出る。

賭けるのは表面上は金銭だけれど、
ロックハートの狙いはシャーキーの魂

そして、その夜はクリスマスイブ!


いやあ、

キリスト教、
クリスマスイブの行事、
悪魔、
アイルランドやイギリスにある妖精伝説や民話、
漫画「魔法使いの嫁」にも出てきた冬至あたりの風習
(あ、「魔法使いの嫁」自体も妖精伝説とか絡んでるか…と気づく)
ポーカーのルール、
呑んだくれ達が呑む酒の種類、
クリスマス辺りの食事メニュー、
舞台になっている辺りの気候、
etc etc

色々と書かれてるって事は、何となくわかるけれど、きっともっとわかったら、より面白かったんだろうと思われる感じ。


コレって、

「ダウントンアビー」を観て、イギリスに行きたいと思ったり、
韓流ドラマを観て、韓国に行きたいと思ったり、
外国人は「呪術廻戦」を観て、東京に来たいと思うのとは

違うとは思うんだけれど、

だって、この舞台を観て、アイルランドに憧れる事はないしね。

だけど、

戯曲の深層にあるアイテムを知ってたら、もっと楽しめるんだろうなと、知識欲を掻き立てられるような舞台だったって事なんだろうなって思ったワケです。


それもこれも、

演者の演技の上手さ故

って事なのかもね。



いやあ、

面白かった。

渋いけどね。


本作品、1月末まで日本各地を巡業してるみたいです。











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