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ADHDと腸内細菌叢④

前回までの記事で,腸内細菌叢を改善することで①ADHD特性 ②ADHDに関連する機能性消化管疾患や慢性便秘 の両方を改善する可能性が高いということを示した.

今回は医学的観点から,どのようにすれば腸内環境がよくなるのかについて解説していく.

1. 整腸剤を内服する

当たり前だが整腸剤の内服は腸内細菌叢を改善させる.整腸剤というのは腸内細菌の中の善玉菌を錠剤にしたものである.これを内服するというのが最もシンプルな腸内細菌叢を改善させる方法と言えるだろう.整腸剤にも多く種類があり,これは次回の記事で解説していく.

2 ハチミツを摂取する

注意してもらいたいのは,ハチミツ単体ではあまり効果を発揮しないという点である.ハチミツは善玉菌の栄養源となるオリゴ糖を含んでおり,これにより腸内環境を改善する.ただし,もともと善玉菌が少ない場合,ハチミツばかり摂取しても効果を実感することはできないだろう.上で挙げた整腸剤と同時に摂取することをおすすめする.実はハチミツにはもう一つのメカニズムで腸内細菌叢を改善する可能性が報告されている.それがマヌカハニーによる抗菌作用である.この抗菌作用は悪玉菌に対して特異的に作用すると考えられている.

3 野菜(食物繊維)を摂取する

食物繊維を多く取りすぎると下痢になると考えて,摂取を控えている人もいるようだが,食物繊維は確実に摂るべきである.食物繊維は腸内で吸収されにくいため便を押し出す効果があるイメージである.それでは下痢になってしまうのではないか?という声が聞こえてきそうだが,実際には腸内細菌叢を整腸剤やハチミツで腸内細菌叢を整えていれば食物繊維を多く摂る程度では下痢にはならない.腸内環境を整えるためには良い便を出すことが必須だが,良い便を出すためには食物繊維の摂取が必須である.過敏性腸症候群もADHDでハイリスクとなる機能性消化管疾患であり,整腸剤が有効な可能性が高い(ADHDと腸内細菌叢③参照).まずは整腸剤をのむところから始めていただきたい.そして野菜をもりもり食べよう.

4 ポリフェノールを摂取する

そもそもポリフェノールというのは植物に含まれる抗酸化物質の総称であり,イソフラボン,カテキン,カカオポリフェノールなど多数の種類がある.その中でも腸内細菌叢を改善するという報告が多いのは,

  1. プロアントシアニジン:葡萄やりんごの皮・種,赤ワインに多く含まれる

  2. アントシアニン:ブルーベリーやカシスなどのベリー類に多く含まれる

  3. カテキン:緑茶を代表とするお茶類,チョコレート,りんごに多く含まれる

  4. ケルセチン:たまねぎや緑茶に多く含まれる

である.これらはそれぞれ異なるメカニズムで腸内細菌叢を改善するため,併用も有効である.ちなみに特茶はトクホに指定されていますが,その有効成分はケルセチンですね.

上に説明したどれも非常に大切で,すべて心がけていきたいですね.特に整腸剤は腸内環境を整える基本だと思います.現代の食事はどう考えても腸内環境を乱す食べ物が多すぎるんですね.

次の記事では整腸剤の詳細について解説していきます.

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PS 続き(本シリーズ最後)の記事ができました


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