毎日をお祭りにしてやろうか
昨日(10月29日)、妻女らと一緒に「日本秋祭 in 香港」というのに行ってきましてね。
これは、在香港の日本団体(総領事館、商工会議所、日本人クラブ、JETRO, 日本料理店協会、等々)が実行委員となって様々なイベントを催すもので、開催の趣旨は、香港への感謝を表すこと、香港の人々に日本の魅力を伝えること、だそうです。
こういうものは、どこの国にもありますね。
そこで、日本の夏祭りのようなものを想像しながら行ってみたわけですよ。
そしたら、あまりの盛り上がってなさに、ア然としました。
お祭りの会場に着いてすぐ、何かが決定的に足りない、と感じました。
縁日の屋台のような出店はあるのですが・・・
美味しそうな日本酒のボトルを並べた出店を見つけたけど、そこにはコップがない。
その隣には、これまた美味しそうな鶏の唐揚げを揚げている出店があったけど、そこには割り箸も爪楊枝もない。
つまり・・・
お祭りに集まった人々が、誰ひとり飲んだり食べたりしていないのです。
香港政府のコロナ対策で、お祭り会場が飲食禁止にされたんだな、と察しがつきます。マスクを外したら罰金をとられる世界ですからね。
これが日本なら、バレないようにうまいことやればいいじゃん、という発想になるのかもしれません。しかし、ここ香港では、1人でも飲食した瞬間に警察が来て、お祭りは即中止にされるでしょう。
日本酒も、鶏の唐揚げも、お持ち帰り用に売っているようなものです。
これでは誰も買いません。
実際に、それらの出店の前にはまったくお客が寄ってきません。
出店の人たちのさびしそうな顔を見て、私はせつなくなりました。
青森県人会の出店には、立派な林檎が並べられていました。
間違いなく、とびきり美味しい林檎なのでしょう。でも、林檎をそのまま置いているだけなら、スーパーと変わりない。
真っ赤な飴でコーティングしなければ、お祭りの商材にならないわけです。
当然、綿菓子も、チョコバナナも、ベビーカステラもありません。
こっちは 10歳と 5歳の娘たちを連れてきてるんですよ。
どうしてくれるんですか。
なんか、いろいろ残念で、せつないお祭りになってしまってます。
会場の中央には、盆踊りに使われるような舞台が設置されています。
浴衣姿の日本人たちが出てきてマツケンサンバでも踊ってくれるのかな、と期待しちゃうじゃないですか。
そしたら、出てきたのは、コドモのような女子 4人組でした。
ここは秋葉原か?
せつなさが増してきたんですけど。
この女子らの歌と踊りを、10歳と 5歳の娘たちに見せるのはまあいいとしても・・・それを見ているパパを見せるのはどうなんだ。
これ以上この場にいる理由がないことをイヤというほど理解した私たちは、お祭り会場を後にしました。
さてと・・・お腹すいちゃったね。(お祭りに行ったのにだよ?)
ここは 上環というエリアで、東京でいえば銀座にあたる中環 (Central) から香港メトロ (MTR) で 1駅の場所です。
繁華街ド真ん中ではない、下町のさりげなさと妖しさがあります。
小粋なトラットリアとか。
香港ローカルが行列をなす麺屋。
西洋人たちで賑わうアイリッシュパブ。
座銀や周月といった、日本のホンモノのラーメン屋。
Kyoto Dining なんてお店もある。(一見さんお断りなんだろうか)
ここ上環でも、日本食が圧倒的に人気なのがわかります。
私たちは、じっくり吟味したうえで、B級日本食レストランを選びました。
普通の国では ”なんちゃって日本食” など絶対に選びませんが、なんちゃって日本食が普通に美味しいのが香港です。
とりあえず、清酒と生ビールを注文した。
酒が盃とともに出てきた。こいつ(盃)のかわりに、紙コップをください、と言ってみた。
妻がニヤリとして、「あたしも」と言った。
食べたいものは決まっている。
鶏の唐揚げ、たこ焼き、フランクフルト、焼きそば、イカ焼き。
生ビールの入った紙コップを片手に、たこ焼きを頬張って「あふいあふい(熱い熱い)」と妻が言っている。