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おやつ論文|運動を始めたい人へ

自分の研究に直接関わる論文とは別に,関わりの有無は関係なく単純におもしろそうと思って手を付ける論文のことを「おやつ論文」と呼んでいる。
最近でいえばTwitterでちょっと話題になった「マインドフルネスは有害な行動にむすびつくか?」(砂田・杉浦,2021)なんかはそんな感覚で(流し)読んだ。

ただ最近おやつ論文を読めていない。
noteでは「紹介するよ!」という表向きな理由を掲げつつ,備忘録かつ自分に義務感を植え付けるためにおやつ論文を紹介していこうと思う。

ということで今回は運動を始めたい人に紹介したい論文を2つ。
(引用は最後)


1回の運動だけでも自信がつく

荒井・竹中(2010)

運動習慣のような運動ではなく1回の運動(一過性運動)に注目した研究。
一過性運動が感情にもたらす効果,運動中の感情と自己効力感の関係について検討(目的はもう1つあるがここでは省略)。

運動群は自転車エルゴメーター,対照群は読書,各20分。
結果を簡単にまとめると,一過性運動が快感情,高揚感,自己効力感を高め,高揚感は運動終了後も維持されていた。自己効力感から感情に与える影響は確認できなかった。

ちなみに「自己効力感」とは,ある結果を出すために自分はどのくらいうまくやれるかという自信のようなもの。
5㎏減量しないといけない!に対して
  まあ余裕っしょ→自己効力感が高い
全然できる気しない→自己効力感が低い 的な

運動しないとなあ...でも疲れるしなあ...,なんて思ってる人はたくさんいる。そんな人に,まずはちょっとでもいいから運動してみようよ!いい気持ちになるし自信もつくよ!と言ってくれているような論文。

趣味を持つことが運動習慣を作る

原田・片山・中村(2010)

運動に興味のない40~50歳代において,趣味を持つことで運動を始めようと思うきっかけになるかについて調べた研究。

結果は,全然運動する気のない人の中には意思の固い人と「やってみようかな」と思うようになりやすい人がいる。後者の中でもスポーツ観戦,ショッピングを趣味としている人は,より「やってみようかな」と思うようになる。対して,運動のやる気に対して否定的に働く趣味(テーマパークに行く)も示唆された。

他の健康習慣を改善したら運動習慣も改善しましたという論文を読んだことがある。ただ,健康習慣を高めるって結構大変なことで,趣味みたいに気軽に始めたら習慣と化すなんてうまくはいかないことが多い。
それなら気軽に始めた趣味の延長で生活習慣も良くしませんか?ができるかもしれないということを教えてくれた論文。

今回はここまで。


< 文献 >

荒井 弘和・竹中 晃二(2010).一過性運動に伴う感情:セルフ・エフィカシーとの関連および感情間の関連性 体育学研究,55,111-123.

原田 和弘・片山 祐実・中村 好男(2010).運動無関心者の心理的準備性の変化と趣味・余暇活動との関連 スポーツ産業学研究,20(2),199-209.

砂田 安秀・杉浦 義典(2021)マインドフルネスは有害な行動にむすびつくか?――マインドフルネスと能動的攻撃の関連に対する危害/ケアの調整効果30 パーソナリティ研究,(1),1-11.

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