「墨を磨る」と「好きを知る」は似ている~墨字書家・五輪さん~
TVの仕事に携わること、22年。これまで〝ひと〟を深掘りする企画をつくってきました。そんな僕がお届けする紹介記事企画。
放送作家の僕があなたを描きます!
きょうは、墨字書家・五輪さん。さあ、どのように描きましょうか。
五輪さんは、数々の〝書〟を披露しています。
コンクールに出品する作品、250日間も取り組んでいた写経、そして墨字書家として最大の特長と言っていいでしょう。
創作墨字。
創作墨字とは、自分だけのオリジナル漢字のこと。
例えば「家」
成り立ちを調べてみると、建物を表すうかんむりと生贄の動物を表す「豕」が合わさって出来上がったそうです。
では、五輪さん流に表現するとどうなるか。こうなるんです。
おもしろいのは、この一文字にぎっしり意図が詰まっていること。
🏠中央左のにんべんは五輪さん自身
🏠中央右のさんづくりは3人の娘さん
🏠中央の丼は食卓と猫
🏠自由に出入りできるように壁はなし
読みは「いえ」でも、意味合いは「わがや」って感じでしょうか。
同じテーマでも、人によって捉え方が違うと十人十色の漢字が出来上がる。そこが、創作墨字の大きな魅力なんです。
次にこちらの創作墨字を見てください。
「伝」という漢字を表現したものなんですが……、
💗マークも文字の一部なんですって!
自由だなー。こういう先入観を取っ払うような発想はとても好きです。
あとは「冷蔵庫」を一文字で表現したり。
そして、その発想をどんどん発展させていった企画がこちら。
なんと、人を創作墨字で描いてしまおうと!
表現の幅がかなり広い。これも創作墨字の魅力です。
五輪さんが墨字書家の活動をはじめたのは数年前。
3人の娘さん全員が巣立っていき、シングルマザーとしての役目がひと段落したことがきっかけでした。
ここまでの人生、遮二無二走ってきて喉はカラカラ、脱水症状でフラフラ。潤いを求めて辿り着いたのが、幼い頃に習っていた書道だったのです。
書と向き合うことで、五輪さんは様々な気付きを得ることになります。
そんな五輪さんの記事を読み、僕はこんなインスピレーションが湧いてきました。
「墨を磨る」と「好きを知る」って、なんか似ている。
硯に水を入れてコシコシと墨を磨る。しっくりくる濃度、粘度になるまで試行錯誤しながら練り上げていく。時間はかかるし、腕は筋肉痛になるしで、意外としんどい。でも、この墨で納得いく線が引けたときは格別にうれしい。
これって、自分が好きなことに向かい合うときと同じだと思うんです。
しんどくても、極めるために頑張る。そして、成果が出たときは格別にうれしい。
「墨を磨る」「好きを知る」語感も似ているじゃないですか。言葉を操る五輪さんに対抗して、僕のささやかな言葉遊びです笑
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