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【神演出】裏切りのサブタイトル~『ドラゴンクエストⅢ』
きのうから「心の四次元ポケットにしまっておきたい【神演出】」というマガジンを創刊しました。きょうは第2回です。
あなたは『ドラゴンクエスト』と名のつくゲームを1つでもプレーしたことがありますか?
僕はあります。数あるシリーズの中でⅡとⅢだけ、ファミコンで。
実は両者には、決定的な演出の違いがあります。それが――?
サブタイトルのつけ方、なんです。
✅「悪霊の神々」と「そして伝説へ…」
はじめに、ⅡとⅢのストーリーをおさらいしましょう。知らないカタカナは読み飛ばしてもらって大丈夫です。
唯一つを除いて。
Ⅱは、ローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女の3人が、大神官ハーゴンと名乗る悪者を倒しにいくというもの。
3人の先祖は前作Ⅰの主人公であり、さらに血筋を辿ると「伝説の勇者」ロトに行き着くという設定。
そんな勇者の血を継ぐ3人はハーゴンを討つわけですが、戦いの末に破壊神シドーが召喚され……、っていう。
破壊神だから「悪霊の神々」ってサブタイトルに大きな裏切りはありません。
一方のⅢは、魔王バラモス討伐に向かったまま消息を絶った「勇者の息子」が主人公。彼は町の酒場で仲間を募り、冒険の旅へと飛び出します。
そしてバラモスを討つのですが……。
平和も束の間、ゾーマという新たな悪者が世界を闇に包むと宣言してきます。主人公たちはゾーマを追い、未知の大陸に辿り着くのです。
で、ここからが神演出。
全ての謎が解けたとき、サブタイトルの「そして伝説へ…」に「なるほどォォォォォォォ!」と絶叫するわけです笑
✅先入観を裏切る巧妙なミスリード
*ここからは結構なネタバレを含みますので、ご注意を!
謎が解けるのは、エンディング。ゾーマを倒した主人公が、王様のもとへ報告に行ったときです。
王様「そなたこそ まことの ゆうしゃ!
そなたに このくにに つたわる
まことの ゆうしゃの あかし
ロトのしょうごうを あたえよう!」
王様「ゆうしゃロトよ!
そなたのことは ロトのでんせつとして
えいえんに かたりつがれてゆくであろう!」
……んん?
ちょっと待てぃ!
勇者の証である「ロト」の称号、ですって。
そう、さっき出てきましたね。ロトです。
なんと、Ⅲの主人公は勇者の始祖であるロトだった、という衝撃のオチ。
最後に装備していた「おうじゃのけん」「ひかりのよろい」「ゆうしゃのたて」は、それぞれ「ロトのつるぎ」「ロトのよろい」「ロトのたて」と名前を変え、Ⅰの最強装備となっていく……。
だから「そして伝説へ…」か。なるほどォォォォォォォ!
サブタイトルの未来を示唆する言い回しが、ミスリードを生み出していて本当に巧かった!
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、そして伝説へ…っていう時系列を普通は想像するじゃないですか。バラモスとゾーマを倒して、2つの世界を救ったんだもの、それは伝説だわと。
しかし、本当はⅢ、Ⅰ、Ⅱという順番。
先入観を裏切ったサブタイトル、お見事です。
✅僕がⅢで脱落した理由
余談ですが、僕はⅣ以降のドラクエをプレーしていません。Ⅲでトラウマを刻み込まれたからです。
このソフト、1988年当時のファミコンソフトとしては画期的なセーブ方法を搭載していました。それが「ぼうけんのしょ」と呼ばれるシステム。
前作までは「ふっかつのじゅもん」システム。ひらがなの羅列をパスワードとして入力しないと、続きからプレーできなかったんですが、ぼうけんのしょは開くだけでよし。
しかし、手間が省けた反面、欠点がありまして……。
驚くほど衝撃に弱い。
小学6年生のとき、僕は友達にⅢを貸したんです。主人公の仲間全員をMAXのレベル99にした状態で。
そして、いよいよ返してもらう日。当時、住んでいたマンションの5階から窓の外を見たら、たまたま飛び込んできたんです。
その友達が、自転車のかごにソフトを入れて我が家に向かってくる光景を。
カララン、カララン。かごの中で跳ねるソフト。カララン。
ちょっと待てぃぃぃぃぃぃ!
データ、消えていました。ぼうけんのしょ、白紙に戻っていました。もう僕に、RPGをする気力は湧きませんでした。
以上です😢
心の四次元ポケットにしまっておきたい【神演出】、第2回は如何でしたか? よかったら前回の記事も読んでみてください(↓)。
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