【反省】たったひとつの変更で、話が劇的におもしろくなった。
「おもしろい」と「つまらない」って紙一重。
そう思わされた出来事があったので、ここに記しておきたいと思います。
それは『報道ステーション』で放送した、ラグビー・福岡堅樹選手の企画をつくる過程で起こりました。
先に、企画概要をざっくりと。
✅先日、福岡選手が現役引退を発表した
✅Tリーグでチームを初優勝に導き、自身はMVP獲得
✅同時に、順天堂大学の医学部に合格
✅シーズン中に異例の文武両道を実現できた理由とは?
企画の制作に取り掛かったのは、先週火曜のことでした。
テーマを決めて、構成を固めることからスタート。
インタビューで撮れたことから逆算すると、選択肢は2つ。
①どのような方法で合格に漕ぎつけたか
⇒受ける大学を1つに絞って徹底的に対策した
②どのような思いで勉強と競技の両立に励んだか
⇒高校時代に出会った医師がきっかけ
⇒「選手の立場に立ってくれる医師に自分もなりたい」
ディレクターさんと相談し、今回は②の方向性で行こうと決めました。
そして、修正した構成をもとに編集作業へ。
水曜、木曜とプレビューをして、金曜にチーフさんの最終チェック。いつもなら、ちょっとの修正だけで放送日を迎えられるところなのですが、今回は……。
「あまりおもしろくなかったんだけど、どうした?」
となってしまいました。一体どうして?
結論から申し上げると、原因はたったひとつの違和感だったんです。
さあ、その違和感とは何だったのか?
答えは、冒頭にありました。
修正前、冒頭の要素を何にしていたかというと、
Tリーグでの活躍シーンでした。
一方、修正後の要素は何になったかというと、
松岡修造さんとのインタビュー。「絶頂期での引退に悔いはない」というやりとりを聞かせることから入りました。
スポーツのVTRにおいて、競技映像から入ることはセオリーのひとつとされています。迫力があって「つかみ」としての効果が高いですから。
では、今回はどうして不評だったのか。チーフさんの指摘に、僕は「なるほど」と納得しました。
違和感の正体は、
「自分たちが伝えたいこと、自分たちにしか撮れていないものは何か」
ということだったんです。
確かに、伝えたいことは「MVPの快挙」ではなく「現役引退した今の思い」で、自分たちにしかない武器は「福岡選手の本音」でした。
大きな変更はそれだけ。あとの流れはほとんど同じ。でも、たったひとつ変えただけでVTRはぐっとおもしろくなりました。逆に、たったひとつの違和感で、おもしろさはガクンと落ちてしまっていた……。
僕は以前、こんな記事を書きましたが、
反省です。しっかり本質と向き合わないと。
あなたは、誰かに何かを伝えるとき、会話や文章の冒頭を吟味していますか? もしかして、入口で損をしているかも……?