自分が最も喜ぶ〝ご褒美〟を、妻との思い出が教えてくれた。
〝自分へのご褒美〟ってあるでしょう?
あなたは頑張ったとき、うれしいことがあったとき、どんなご褒美を自分に与えていますか?
おいしいものを食べる?
高価なものを買う?
贅沢な体験をする?
先週の僕は、自分が最も喜ぶご褒美とはなんなのか、考えさせられてしまいました。
きっかけとなった出来事はこちらです(↓)。
甲状腺がんかもしれない不安と戦ったご褒美に、なにかをしようと思ったのです。
当日、出不精な娘のために夕食の準備をして、僕は出かけました。
都内の温泉施設へと。
温泉で癒されて、サウナで体を整えて、ちょっと豪華な食事を楽しんで。
……なんて考えていたんですけど、入浴とサウナだけでやめました。なんか、僕だけ贅沢するのは気が引けてしまって……。
結局、近くの松屋で済ませました。牛めし並盛380円。
なんだか、ご褒美が足りないよなーと思った僕は、翌日の深夜も出かけました。
ひとりカラオケへと。
しかし、ちょっと待てと。部屋に入って頼んでいたレッドブルが届いたところで、僕は気付いてしまったんです。
これってご褒美になってないのでは? だって、普段と同じ行動だもの。
ご褒美は仕切り直し。やはり、普段にはない特別感を出さないと。
そこで用意したのが、こちら。僕は普段、家でお酒を飲みません。
用意したのは、新潟県新発田市の金升酒造による、春季限定のお酒。
純米吟醸うすにごり 霞始靆(カスミハジメテタナビク)。
斬魄刀の名前みたいですが、季節を表す言葉(七十二候)のひとつらしいです。瓶の底に積もっている白い澱がゆらゆらと。春の霞を表現しているといいます。
飲んでみると、さわやかでフルーティーな味わい。
でも、なーんかひとりで飲むお酒っておいしくないんですよねー。
うーん、ご褒美下手。
そんな中、ふと浮かんだのが妻との思い出です。
あれは、もう5年前。妻がおよそ3カ月にも及ぶ放射線治療を終えたときのことです。
「自分へのご褒美に付き合ってほしい」
そう言って、妻は僕をある場所へと連れていきました。
かに道楽へと。
茹かにの食べ比べ、刺身、コロッケ、紙鍋、雑炊……。
「結婚してから食べに来たことなかったよねー」
「大昔、会社のみんなで食べに行ったことあったよねー」
なんて会話をして。
「放射線治療おつかれさまー」
なんて労って。
妻は楽しそうでした。とっても。
そうか、今回の僕に足りなかったのは、ご褒美を誰かと共有することだったのかもしれません。
大切な人と楽しい思い出を作ることこそ、最大のご褒美。
あなたはどうですか? 自分が最も喜ぶご褒美とは……?