
ジャンプっ子の放送作家が『劇場版シティーハンター』を観た。
最近になって動画配信サービスで『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』を視聴できるようになりました。
劇場で公開されたのは2019年。
当時、僕は物語の舞台である新宿まで行って、映画館の大スクリーンで観てきました。あれから3年――。
よし、そろそろ復習するか!
ということで、Netflixでダウンローーーーード。
さあ、きょうは週刊少年ジャンプ歴36年、放送作家の僕がこの映画をオススメしたい理由を書きたいと思います。
最大の理由は〝狙い撃たれた感〟
僕は普段、映像コンテンツを提供する仕事をしています。その際、大事にしているのは視聴者のハートを狙い撃つこと。
つまり「どの層をターゲットにするか」「その層はなにを求めているか」
今回の劇場版は、そこが非常に上手でした。
ターゲットは「昔、アニメを観ていた層」
求めていることは「これこれ感」
「これこれ感」というのは、観ていて「これこれ!」となる感覚のことです。言い換えると、お約束がしっかり守られているということ。
🔫美女の依頼を受ける
🔫獠がもっこりして、香がお仕置き
🔫依頼者が獠に惚れていく、または香に惚れる男が出現する
🔫だんだん敵の目的がわかってくる
🔫獠がとんでもない強さで一気に解決
🔫かっこいい決め台詞
🔫からの、神曲『Get Wild』
もう鉄板の流れですね。今回も、これは変わりません。
映画館で初めて観たとき、エンディングで『Get Wild』が流れた瞬間に、場内が「おーっ」という空気になったのは印象的でした。
まさに「これこれ!」
さらに……。
🔫主要キャラクターの声優さんが当時のまま
🔫歴代の主題歌&挿入歌がてんこ盛り
これらの点も「これこれ!」でしたね。
一方、昔と変わった部分もありました。それは「時の流れ」に伴うもの。
⌚獠のもっこりに対し、香が「時代の空気読まんかい!」とハンマー
⌚新宿の街並み(獠の家も)が変わった
⌚誰もが電話を携帯する時代になった
⌚「XYZ」はアプリに書き込む
⌚AIロボット「海小坊主」&のぞき専用ドローン「エローン」
こうした時代の変化って、昔のアニメを観ていた層に響くんです。
「当時はセクハラに対して寛容だったのになあ」とか、
「当時はTOHOシネマではなくてコマ劇場だったなあ」とか、
「当時は公衆電話だったなあ」とか、
「当時は新宿駅に伝言板があったのになあ」とか。
今回のような「復活」を掲げた作品って、変えてはいけない部分をどう見極めるか、変わった部分をどう料理するか、この両面を楽しんでいくものだと思いました。
『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』
まだ視聴されていない方は、是非ご覧あれ!
ちなみに。
僭越ながら「あえて注文をつけるとしたら」という部分も書きたいと思います。あくまで個人的意見ではありますが、2点。
🔨海坊主のキャラクター
🔨獠の「とっておきの場所」
ひとつめ、海坊主はコミカルすぎました。
特に新宿遊園でのバトルはイメージとは違う言動で。獠はとことんシリアスに戦っているのに、海坊主は大騒ぎしている。むしろ、逆の方がしっくり来たのではないかと思います。
ふたつめ、獠が「とっておきの場所」だという夜景を見下ろせるビルの屋上。ここに依頼人の亜衣を連れていくべきだったのか。
実は昔、獠はアルマ王女に同じことをしているんですよ。シティーハンター史上に残る名場面です。
当時「人を招待したのは初めて」と言っていたので、獠にとってはかなり「とっておき」だったはずです。そんな特別な場所に、また違う女性を連れていきますかね。
しかも、連れていく理由も、アルマ王女に比べると今ひとつ弱くて。
この2点だけは僕の中で惜しかった。くり返しになりますが、あくまで個人的意見です。まあ、このように「自分だったら」と思いを巡らせるのも、映画の楽しみ方なのではないでしょうか。
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