「発達障害かも?」という人が職場での「困りごと」を解消する小さな工夫
本日4月17日発売の新刊、『発達障害かも?という人のための「生きづらさ解消」ライフハック』。著者の姫野さんが、職場での「困りごと」に悩むすべての方へエールを込めて、特別にご寄稿くださいました!すぐに使える5つの「発達ハック」、必見です!
はじめまして。4月17日に『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ解消」ライフハック』を上梓するライターの姫野桂です。
この本は、発達障害当事者や傾向のある人126名に、特性による困りごとをどう解消しているのかアンケートを取り、厳選したものをまとめています。
いわば、「みんなで作ったライフハック本」です。
「言葉は聞いたことがあるけど、具体的に発達障害って何?」という人もいるかもしれませんので、まずは軽く発達障害について説明します。
発達障害は主に以下の3つの種類があります。
・ 衝動性や不注意の多いADHD(注意欠如・多動性障害)
・ コミュニケーションに困難が生じ、独特なこだわりを持ち、反復行動を好むASD(自閉症スペクトラム)
・ 知的な問題はないのに読み書きや計算が難しいSLD(限局性学習障害)
これらの障害のどれかが一つだけ当てはまることは少なく、併存している場合が多いです。たとえば、ADHDとASD両方持ち合わせているなど。
そして、何を隠そう、私自身も発達障害当事者のうちの一人です。私は算数SLDが最も強く、次に不注意の多いADHD、ASDは傾向がある程度のトリプル発達障害者です。
職場での「困りごと」は、「ハック」で乗り切ろう!
話は変わりますが、この春から新社会人になった方もいることでしょう。発達障害の人の多くは、仕事を始めてから困りごとの壁にぶつかってしまうものです(発達障害でなくてもそうだと思いますが……)。
電話をしながらメモを取れない、曖昧な表現の指示を汲み取れない、書類の記入漏れや誤字脱字といったケアレスミスが多い、などなど……。
私自身も、事務職の会社員として働いていた頃はまったく仕事ができず、悔しい日々を送っていました。
私の場合、算数SLDがあるのに経理に配属されたので、帳簿や経費がとんでもない数字になっていたり、会議の資料のコピーがうまく取れなかったりしました……。
このような失敗も振り返りながら、みなさんのハック、名づけて「#発達ハック」を拝見させていただきました。
それでは、このたび刊行する新刊の中から、発達障害の傾向のある人が少しでも仕事がしやすくなる「発達ハック」をいくつかピックアップしてご紹介します。
書類のケアレスミスが多い
→同僚や上司にダブルチェックしてもらう。頼む際は、心の広そうな人に「書類の作業が苦手なので、念のためチェックしてもらっていいですか?」と言うと、角が立ちにくくなります。
スケジュール管理が苦手
→スケジュールが入ったら即、スケジュールアプリに記入し、アラームをセットする。
「それ」「あれ」「さっき」「今度」など、抽象的な指示が分からない
→口頭だと「言った・言わない」のトラブルが起こりがちなので、指示はメールなどの文章で送ってもらう。
電話が苦手で、たった今聞いたことを忘れてしまう
→最後に、「大事なことなのでもう一度まとめますと……」という流れに持っていき、もう一回言ってもらう。
一つの仕事に集中しすぎて休憩を取るタイミングが分からず、疲れてしまう
→今やっているタスクを表示してくれる便利なアプリ(タスクシュート)を使って、どのくらい仕事が進んでいるのか把握する。
ここでは5つの「発達ハック」をご紹介しましたが、本書には「仕事編」以外にも、「人間関係編」「日常生活編」「体調管理編」と、ジャンルごとにたくさんのハックを紹介しています。
おそらく、発達障害ではないという人でも、苦手なことを乗り越えるヒントが得られるものになっていると思います。
自分に合う「ハック」を見つけよう
今回、アンケートを取ってみてわかったのは、みなさん本当にいろんな工夫をしているということです。発達障害の濃淡は人によって違うので、ハックも人によって「合う・合わない」があります。
だから、まずはいろんなハックを試してみて、自分に合うハックを見つけてもらいたいと思います。
ちなみに、私が最近使っているハックは、「Slack」というビジネスチャットでの雑談です。
「なんだかやる気が出ないなぁ……」という日は、仕事仲間たちとのチャットに「今日、やる気が出ないです」と書き込むと、「無理せずぼちぼちいきましょう」といったコメントがつき、それだけで少しやる気が出ることがあります。
ASD傾向のある人の中には雑談が苦手という人もいますが、私にとって雑談は、仕事のモチベーションを高めるために重要な手段のようです。
社会人生活が始まったばかりで何事もうまくいかないという人、早くも仕事で行きづまったという人、自分を責めないでください!
あなたは十分がんばっています。がんばる方向を少しだけ変えてみればいいのです。
ぜひ、本書でご紹介する「#発達ハック」を駆使して、「生きやすさ」を手に入れてください!
<著者プロフィール>
姫野桂
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。
著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)。趣味はサウナと読書、飲酒。