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国際電話で美容院を予約する

7月下旬までウガンダにいます🇺🇬

2024年7月8日(月)

朝の通勤路でマンダジ(1個約20円)をたまに買う。マンダジは小麦粉を練って揚げた揚げパンのこと。自転車のお兄さんが朝、バケツに詰めて売り歩いている。

マンダジのお兄さん

先週のマンダジは揚げたてですごく美味しかった。でも、今日のは、同じ人から買ったのに、冷え切ってカチカチだった! なんでー!
同僚にそれを話したら、当日の朝に揚げる場合と、昨日の残り物の場合が両方あるそうだ。当日の揚げパンはバケツの上よりも下のほうにあると言う。今度から買う時はバケツの下にある揚げパンを指定することにしよう。




2024年7月9日(火)

美容室の予約をした。僕は髪を一ヶ月半くらいの周期で切るが、アフリカと日本もだいたい同じ周期で往復しているので、散髪には出国直前と帰国直後に行くことになる。帰りの飛行機はいつも髪が長く、一日も早くさっぱりしたいと思っている。

帰国日が近づくと、美容室の予約と駐輪場の更新をするのがルーティーンだ。美容室はネット予約が面倒で、パソコンからSkypeで国際電話をかける。小さな美容室で、美容師さんは常時3〜5名なので、声を聞けばあの人かと想像がつく。電話に出るのはだいたい閉店後にウィッグでカットの練習をしている見習いさんだ。挨拶を一往復した後に名前を聞かれ、名乗ると「こんにちは」と言い直してくれる。だれが電話をとり何を話すか、電話応対のマニュアルがあるようだ。

国際電話は最近ネット経由で安くかけられるが、音質は完璧には程遠い。ホテルの脆弱なネットのせいで電話が切れてしまわないかも不安である。まるで宇宙の彼方にある惑星と交信しているようだ。途中で電波が通じなくなってかけ直したことも実際あった気がする。予約できたらそれだけで少しホッとする。

そんな通話環境の中で「カットの予約をしたいんですけど」や「担当は〇〇さんでお願いします」と言うのは毎回不思議な感じだ。電話は惑星交信で普段の生活からほど遠いのに、話の内容が生活に根ざしたものなので、ちぐはぐ。必要なことを合理的にしているだけなのにちぐはぐになるのがいい。

高校生の頃、伊坂幸太郎さんの「終末のフール」を読んだ時に「世界の終わりにも髪は伸びる」みたいな一節があって、妙に納得したのを覚えている。SF映画顔負けに技術が進歩しても、髪は伸びるわけで、そういう死ぬまでついて回るものって人間というか、すごく生活で、割と好きである。



2024年7月10日(水)

ウガンダ人の同僚と話をしていて珍しく文学の話になった。彼は文学の素養がある人で、次のような話をしてくれた。

「劇作家イプセンの『The Outsider』という作品が好きなんだ。主人公が四発の銃弾で相手を殺害する。最初の一発で相手は死んだことが分かったのに、四発も打ち込んだんだ。なぜ相手は死んでいるのに、追加で三発打ち込んだのか、その三発を打ち込んだ時に彼が何を考えていたのか、そこに謎がある。そういう話だよ」

面白そうじゃんと思って夜に調べたが、イプセンにThe Outsiderという作品は見つからなかった。彼が作者名を間違えたみたいだ。タイトルで何回か検索をかけたら見つかった。知っている作品、というか、教科書に載るような超有名作だった。この作品、こういう話だったのか。




2024年7月11日(木)

フィールドに出たら、知らない果物を見つけた。

英名を聞いたら「カスタードアップル」とのこと。「え〜? そんな名前の果物があるのかい」と思って調べたら、本当だった。日本だとバンレイシ、台湾ではお釈迦様の頭に似ていることからシェッキャー(釈迦頭)と呼ばれるそうだ。

中はこんな感じ

味は爽やかで、カスタードアップルという名前も納得。
それにしてもカスタードアップルとお釈迦様って、すごい落差!




2024年7月12日(金)

元チャットモンチー橋本絵莉子さんのこの曲がすごく好きで、こんなきれいな曲はなかなかないなと思いながら、よく聴いている。

曲中に「アルファベットはこれ以上増えない」という歌詞があって、聞いているとそこだけ前後の歌詞からぽっかり浮いている感じがする。このアルファベットというのが何を指しているのか、ずっと分からなくて、何かの頭文字かなとか、人の名前かなとか、色々考えていたけど、これはギターのコードのことかもしれないなとふと思った。音楽を作るときに使えるコードに限りがあること、そのなかで音楽を作り続けること。その難しさと可能性のこと。




2024年7月13日(土)

大江健三郎さんを読んでいたら(最近大江さんばかりだ、この本800ページ以上あるんだもの)連作「河馬に噛まれる」で、こんな文章が不意打ちで現れた。

新聞で見つけたのは、ウガンダのマーチソン・フォールズ国立公園船着場で、日本人の青年が、若い牡の河馬に噛まれた、右肩から脇腹にかけて相当の怪我をした、という記事である。

大江健三郎. 大江健三郎自選短篇. 岩波文庫. 2014(2023). p.694.


自分と縁のある場所が本に出てくるとちょっと嬉しいですよね。今のマーチソンは橋が架かって船着場は行けなくなったので噛まれるほど近くで見ることはできないけれど、河馬はまだたくさんいるみたいです。





2024年7月14日(日)

こちらは朝8時です。朝は涼しく、Tシャツだと肌寒いくらい。祖父は知多半島にハゼを釣りに出かけたそうです。皆さんもよい一日を!



(おわり)

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