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年末雑記2024
クリスマス休暇に入ったら、少し大きめの自主制作をしようと思っていた。作品のサイズが大きいんじゃなくて、手間がかかるという意味での「大きめ」。だからnoteで年内に上げようと思っていた小説は全部12月中旬までに仕上がっていたし、この年末は「2024年振り返り」とか「今年のまとめ」とかいった類のものは書かない、と決めていた。
こんなに準備万端だったのに、いざ休みに入ったら重い腰が上がらない。それならクリスマス明けに始めればいいかと思っていたら26日になっても何も始まらない。26日はチェコでは「クリスマス二日目」という名の祝日だ。何も明けちゃいない。そもそもクリスマスというのはキリストの生誕の日に終わるものではなく、1月6日のTři králové(東方の三博士、直訳は「三王」)でやっと終了するのだ。クリスマスを目安にしていたら何も始まらない。自分の中で何も始まらないうちに新年だけが始まってしまう。
取り敢えず手を動かそうと思って筆を手に取ったらこんなものが出来上がった。
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コピーライトを重ねるほどの出来でもないので、HPにも載せていない。こんな絵を量産しても何も先に進まない。
……と、区切り線の上まで書いたのが26日の昼下がり。
おい、どうした……?
何なんですかこの文章から醸し出されるやさぐれた雰囲気。ワタクシ普段は「人生は大きな冗談」とばかりに楽観主義万歳で生きているんですが。気持ちよく年越したいこんな時に限って何書いてるんでしょ。
26日はこの後「体を動かさないのがいけないのよ」とばかりにビュっと勢いで裏打ちに取り掛かりました。年内にやりたいと言って実行していなかった二枚です。
裏打ち完了写真↓
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来年からは裏打ち報告書は書かずに、こうして裏打ち完成の写真をお見せするだけになるかもしれません。毎回やることは同じなので。
せっかく作った記事なので、以下「年末雑記」をつらつら書き連ねます。
①ヤドリギ
一度墨絵教室の生徒さんにいただいて以来飾っている唯一のクリスマス飾り、ヤドリギ。いただけたのはその年だけで、それ以降は自分で買っています。今年も12月中旬くらいに購入しました。
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去年までは緑(着色なし)と金や銀の着色したものを組み合わせていたのですが、立ち寄ったお店が緑はショボいのしか置いてなくて、今年は銀だけでいいか、と銀だけにしました。
これ、なんで飾っているかって言うと、健康祈願なんです。去年の年末辺りも「強くなりたい」とか言ってました。ところが今回このヤドリギを購入した次の日に熱を出しましてね、クリスマス休暇前の最後の授業のある週だっていうのに、二日ほどお休みをいただきましたよ。情けねえ。このあとの一年間はヤドリギが効果を発揮してくれることを願うばかりです。
②クリスマスの鯉
〝伝統的に〟チェコで食されるクリスマスの鯉。養殖された鯉が例年通り今年も12月20日くらいから屋台が立って街中で売り出されていましたが、一昨年も書きましたように、やはり動物愛護の動きも止まるところを知らず、のようです。
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キャンペーンのスローガンは「Vaše tradice Moje trápení(あなた方の伝統、私の苦しみ)」
ん?しかしこのプラハ市役所の広告はちゃんと読んでみるとヴィーガンの人たちの訴えとは違いますね。単に「殺すな、食べるな」ではなく「家で殺さないでください。専門家に任せてください」と書いてあります。プロなら痛みのない殺し方ができるということでしょうか(その昔ペスカタリアンの彼女がいるアメリカ人の友達が「魚は痛みを感じないから食べてもいいんだ」と言っていましたが。どうなんでしょうね、その辺り。)
関連サイト等を読んでみたら、鯉を生きたまま買い取ってクリスマスまでバケツの中で生かしておいて調理直前に殺すというのも苦しみを長引かせるからやめましょう、とありました。他にはその養殖の鯉を屋台で買い取って川に放す、という行動に出る人もいるそうで……こ、これは確かに謎の行為ですな。
③クリスマス菓子
noteでも紹介したことがあるチェコのクリスマスのお菓子、Vánoční cukroví。2021年にかしゅたん&パツキンスキーとご紹介した際にも「墨絵教室でご婦人方が手作りを持ち寄って」という話をしましたし、私も手作りの本格cukrovíを口にしたことがないわけではないのですよ。しかしですね、今年のクリスマスに日本語の生徒さんにいただいたのは、ちょっと今までのとは比にならない……量でした。
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この入れ物、長辺が25cmくらいあるんですわ。私だって一人暮らしではございませんが、パートナーはこういった「他人の手作り菓子」を嫌がる人で絶対に食べないだろうし、とビビっていると、贈り主である生徒さんは「新年まで持ちますね~、あはは」というノリでした。おかずにはなりませんが、お節料理と似た雰囲気でしょうか、大量に作ってクリスマス前から元日くらいまで食べ続けるのが普通のようです。
ちなみにその生徒さんに「ご自身で作ったわけでは……?」と聞いてみたところ「違いますがウチの手作りです」とのこと。別に私もこれが「女性の仕事」と思い込んでいるわけじゃありませんし、実際男性でも作る人を知っていますが、その生徒さんはクリスマス中さえも休みなく働く医師で、そんな人が寝る間も惜しんで作らないよなあ、と思いまして。奥様の手によるものなのかお母様の手によるものなのか、作り手の正体は明かされませんでしたが、このチェコに住むニッポンジンのために用意された一箱、お休みを通して大切にいただくことにしました。
いただいたものを全て大皿にきれいに並べて記念撮影ができればいいのですが、全部箱から出して撮影してまた戻して、と考えると何だか非現実的。そこで全種類お茶の時間の度に撮影していくことにしました。全種通るのに12枚の写真になりまして、ここに一枚ずつ並べても記事が長くなるだけなので、一つにまとめました。
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私もここまでデコっているものを見るのは初めて。
もちろん同じものをいくつか入れてくれたお菓子が複数種あるのでこれが箱の中身を全部並べた状態じゃありません。いやあ、贅沢な年末となりました。
④カフカ原画
昨年2023年の最後の記事がこんなものだったことを覚えている方はいらっしゃいますでしょうか。
この時ニシコクマルガラスの原画の購入を希望されたご婦人はその後もやはりニシコクマルガラスがモチーフの水彩画を二点お買い上げくださいました。
そして12月に入ってすぐ、このご婦人の娘さんだというお嬢さんからメールで連絡があり、「母はあなたの絵を気に入って何点か購入していますね。母にクリスマスプレゼントとしてもう一点買うことはできますか」とのこと。
……うん、それは嬉しいんだが……あのご婦人に、絵が買えるほどの年齢に達している娘さんがいる……?
私、普段は人と接する時は相手の年齢って全然考えません。大人同士なんだからいくつ上いくつ下、なんて関係なく丁寧に接する。それで完結。しかし、あのニシコクマルガラス原画をご購入くださったご婦人はお子さんがいたとしてまだ小学生とか、そんな感じの雰囲気で。もちろん子供を授かる年齢は人それぞれですし様々な事情で実子でない場合もあるでしょうけれど、やっぱり人間の思考はどうしても「典型」に囚われているところがありますね。
実際娘さんに絵をお渡しするためお会いしたら、大学生くらいかな、という印象でした。彼女にとってお高い買い物だったことには変わらない気もしますが、お母様に喜んでいただけているといいなあと思います。
むむ、こうして言葉にしてみると、何だか充実した年末だった感が湧いてきましたぞ。
本記事が私の2024年最後の投稿となります。皆様、今年も大変お世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えください。