流れ者の暴力リゾートバイト『ロードハウス/孤独の街』
南の楽園は治安が悪ければ悪いほどいい。
そんな理想の暴力リゾートバイトを描いた映画『ロードハウス/孤独の街』がAmazon primeで配信された!
アンニュイな流れ者ファイター、ジェイク・ギレンホールが拳で地域貢献していくのが主なあらすじの本作。
最近は良い意味で「どうした!?ギレンホール!!」と予想外の役を演じる俳優になりつつある彼氏。
本作では素肌にシャツという飲み屋の用心棒を好演!!
最初は第三ボタン辺りまで開いているが、もう終盤はボタンが用をなしていない。
本作におけるボタンの行方も必見だ。
ともすれば甘いマスクのギレンホールがコテコテなタフガイを演じられるのか?と思う人もいるかもしれんが安心して欲しい。
地下の野良試合で相手がギレンホール扮するダルトンの名を聞けば速攻で試合拒否!から始まり、挨拶代わりに刺されてもセルフ治療、お願い事をされても一旦断る・・・というタフガイ検定準2級レベルのムーブを披露してくれる。
おかげさまで最近では珍しいコテコテの地上げ屋相手に、暴力で住民税をお支払い!!
ピーカンな空の下、ステゴロ殺法が炸裂していく。
どの作品でもバッキバキな瞳の彼だが、同じくらいに今回は身体もバッキバキ。
チョコモナカジャンボみたいな腹筋を引っ提げ、どこか陰のある喧嘩屋という役柄に説得力を持たせている。
そうそう喧嘩を安売りしない彼だが、最終的に人間凶器の本領を発揮!
廻しを外した闘犬の如く、本能のまま荒れ狂う。
色々スッキリした結果、やさぐれていた彼の人生が1mmだけ変わっていく。
ギレンホールはつらいよとでもいうべき、暴力版フーテンの寅さんな趣のある作品である。
そんなオーバー・ザ・腕っぷしのギレンホールに相対するのが、コナー・マクレガー演じるノックスだ。
本作では俳優デビュー作にして、ブレーキ知らずの暴れはっちゃくファイターを熱演。
なにせ登場から携帯片手にフルチンで街を練り歩くのだ。
奇しくも秒殺を果たしたジョゼ・アルド戦ばりに、のっけからインパクトを我々に与えてくれる。
(全裸だけど靴下は着用しているあたりに手心を感じる)
結果、他人の服をカツアゲし、マーケットに放火!
物のついでにしてはどうかと思うほど、お釣りの出る破壊っぷりを披露!
元UFCファイターとして君臨し、メイウェザーと殴りあったのは伊達ではない。
悪役としては100点満点としかいいようのない登場に目を見張ってしまうだろう。
とはいえ、これもほんの序の口。
話が進むにつれ『お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの精神』がエスカレートしていく。
まさに暴力マシマシのジャイアン状態。
もう生まれた時代を間違ったとしか言いようのない輩っぷりに目を見張ってしまうだろう。
ともあれワルなのは間違いないが、どこかすっとぼけた魅力を感じる役を熱演している。
今、ハリウッドで『厄介な地元の先輩』を演じさせたら右に出る者はいない!と感じさせてくれるだろう。
ギレンホールが闘犬ならば、マクレガーは狂犬。
そんな2匹が激突するのだ。
ワクワクしないわけないじゃないの!!
『最終的に裸一貫のタイマンでケリをつける作品に駄作はない』
そんな個人的な傑作基準があるのだが、しっかり本作は満たしている。
かつてパトリック・スウェイジが主演した作品のリブート作なわけだが、これを機に新しく円盤なり配信なりで何かしらの視聴手段が欲しいところだ。
やさぐれアウトローの地域交流、くんづほぐれつなタイマンバトル、死んでも死なないマクレガーのド根性…と、世界の危機とは無縁の、言ってしまえば町内会レベルの危機を描いた本作。
だがねえ…こっちも疲れるじゃないですか。
毎回、世界の危機ばっか見せられても。
巷のスケールのデカい映画の鑑賞に疲れた人にこそグッとくるだろう。
いずれにせよ、今後もギレンホールの喧嘩バイト紀行を見たい!シリーズで!!
なんならマクレガーのスピンオフも‼︎と思わせてくれる作品ですよ。