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ゲーム屋人生へのレクイエム 110
小さいプロジェクトで小さな利益を積み上げていたころのおはなし
「次々とプロジェクトを作っていますけど社員は何人いたんです?」
「会社の立ち上げを一緒にやったKとマーケティング、企画兼プログラマー、プロダクトマネージャーそして俺の5人だよ」
「いつの間にか増えたんですね」
「俺とKでこなせる仕事の量ではなくなったからね。人が増えれば仕事を増やすことができる。増員も大事な投資だよ。メンバーが増えたところで前回のはなしに出た経営方針の転換をやることにしたんだ」
「オンラインゲーム専門の会社にしたんでしょ」
「そうだ。PSPに続いてリリースするDSゲームを最後にオンラインゲーム販売専門の会社にすることにしたんだ。
早速最後のDS向けゲームの開発と並行して任天堂のWii向けダウンロードゲームの企画をまとめて、あちこちの開発会社に持ち込んだんだ。
会社の近くにあった開発会社にも企画を持ちこんだら面白いって事になってさっそく開発することになったんだよ」
「切り替えが早いですね」
「こういうことは行動力だよ。躊躇してはいかん。軌道修正しながら前進あるのみだ。
そんな感じで調子よくオンラインゲーム事業に切り替えていた時に最期のDSゲームの受注の締め切りの日にえらいことが起きたんだ」
「何が起きたんです?」
「赤字になったPS3ゲームの話しを覚えているでしょ。103話。
ほれ、リンク。
この時に家電量販店からの追加注文を断っただろう。
あの時の仕返しをされたんだ」
「どんな仕返しだったんです?」
「この量販店ではかなりの本数を注文してたんだけど、注文締め切りの日に全部キャンセルされた。あからさまに仕返しされたんだ。
注文してた数が多めだったから気にはしてたんだけど、まさか全部キャンセルされるとは思わなかった。結局穴埋めする売り先も見つからずに出荷時点で赤字のプロジェクトになってしまったんだ」
「嫌な客ですね。やり方が陰湿ですよ」
「まったくだ。器の小さいバイヤーだ。この事もあって更にオンラインゲームの商売に確信を持ったよ。絶対に成功してやるって誓ったんだ。
まず、オンラインゲームをそれまであった会社のサブブランドとして売り出すことにした。ブランドの名前やロゴも決めてね。コンセプトは低価格で簡単にゲームを理解できて、短時間で遊べる。
メディアにもガンガンアナウンスしてオンラインゲーム1本でうちは勝負するって派手に発表したんだよ。
反応は上々だったよ。
買ってくれた客、これから買ってくれそうなひとをサポーターと位置付けて専用のサイトも立ち上げた。オンラインゲームはオンラインで宣伝する。
サポーターにも宣伝に一役買ってもらおうって当時はまだ珍しかったフェイスブックも使う事にしたんだ」
「進んでましたね」
「社員はみんな若い奴ばっかだったから、そういう流行に敏感でね。新しいものを躊躇せずにどんどん取り入れたんだよ」
続く
フィクションです