「マイクロプラスチック問題」から
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3点に注目したい。
1.マイクロプラスチック⇒脱プラは「浅はか」
2.代替手段の与えるマクロ環境への影響
3.事業規模拡大に対する有利な解釈を押し付けるという現象
関連代表記事 EARTHER Yessenia Funes 12/19/18 10:50am
https://earther.gizmodo.com/european-union-nations-unanimously-agree-to-ban-single-1831200966
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A 太平洋ゴミベルトの惨状*1であったり、海を漂流するプラスチックに喉を詰まらせる海鳥、或いは、体内へとプラスチックが侵入した魚類。多くの人々の記憶に、少なからずの映像を残しているのかと思う。
B スターバックスやマクドナルドなどのプラ製ストロー禁止というアクション。EUでは2021年までにディスポーザルなプラスチックの利用を禁止する方向に走っている*2。レジ袋禁止運動は日本含めた世界の国々での行動でもある。
A マイクロプラスチックという問題に焦点があてられた場合、「脱(使い捨て)プラスチック」という流れに乗るのは「簡単」であり「安パイ」であるが、それが「本質的かどうか」は別問題である。
B 人間の基本的感情は単純である。海が魚が鳥がプラスチックで汚染され、それが巡って人間にも影響する。こう言われれば感情的に「脱(使い捨て)プラスチック」の流れができる。マイクロプラスチック関連のNEWSをみて、「脱プラスチック」と考えてしまった方々も、多いのではないだろうか?
A 感情論は、客観的思考の邪魔をする。真実を捻じ曲げる役目を果たす。現状の把握やサポート情報の整備については、感情論を持ち込まずに進めるべき。一方、戦略仮説を進める段階、即ち必要十分条件のデザインにまで踏み込んだ場合に、「考える戦略が実行されるか?」という人間的・感情的側面を十二分に盛り込む必要がある。
B マイクロプラスチックはどうだろうか?海にプラスチックが押し寄せ、生物が汚染され、人間に影響がよりでてきそうな雰囲気がある。ここで、例えば、「脱(使い捨て)プラスチック⇒脱レジ袋⇒お買い物袋」と考えるのは、正直、安直すぎる。ディスポーザブルなレジ袋を使う場合と代替手段(お買い物袋など)を使う場合とで、環境等に対してどれだけの差異があるのかを、思考すべきである。
A Life Cycle Assesmentという考え方がある。即ち、ある製品が使い終えられるまでの期間を考慮した環境への影響を評価する。留意点としてはごみ処理問題があるが、まずは無視する。例えば2011年の英国のそれでは、コットンのバッグを131回を越えて使うのであれば、使い捨てレジ袋に比べて、地球温暖化への影響を小さくできるという。
B 意味することは深い。例えば、レジ袋を再利用した場合、コットンバック131回という数値がいっきに跳ね上がることになる。例えば、コットンバックをお買い物袋にしたことで、わざわざ、ゴミ処理用の使い捨てプラ袋を購入するようになったら…。
A 感情に流されて、単に、マイクロプラスチック⇒脱(ディスポーザブル)プラスチックという思考を巡らすのは安直すぎる。環境への影響をマクロに捉えて、代替手段によって引き起こされる影響を、現状延長や現状改善レベルと比較して冷静な判断をし、ベターな道のりに対して感情の波を作ることが重要である。
B ビジネス・事業として、現在の脱プラスチックは巨大なマーケットが誕生する起点であり、魅力的である。その方向性に世界が動く可能性も強く、動ける準備を粛々と進めておいて損はない。しかし、「お金儲け」を選択することで、結果的に「世界や社会に対してマイナスの貢献」をすることがあることを、肝に銘じねばならない。
A デジタル分野でも、デジタルテロ問題やSNS依存性などを採り上げ「まさか、こうなるとは…」などと(浅はかな)反省文を述べる企業が多いが、上辺の繕いである。
B どんな美しい世界を創りたいのか? この構想がアヤフヤだから、目の前にある機会に事業規模拡大に対する有利な解釈を押し付けることになる。
A マイクロプラスチック関連であれば、本質は寿命延長と循環フローの形成であろう。単に脱(使い捨て)プラ運動をするのは、浅はかすぎる。
*1 National Geographic 2018.03.27 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/032600132/
*2 Gizmode European Union Nations Unanimously Agree to Ban Single-Use Plastics By 2021 https://earther.gizmodo.com/european-union-nations-unanimously-agree-to-ban-single-1831200966
/2018.01.02 JK