図1

「民主主義崩壊とトルコ」から

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3点に注目したい。
 1.X主義は創造物であり、手段
 2.ニンジン政策は負のスパイラルを産む
 3.内面充実化が軽視されがち
代表関連記事 日本経済新聞 2019/1/17 1:30
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40099890X10C19A1EAF000/
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A 民主主義の崩壊が叫ばれている。グローバルに、独裁型主導者(トランプ、習近平、プーチン、エルドアン等)が目立っている。一方、ブレグジットやマクロン政権へのデモなど、民主主義平気?と思わせるイベントが多発している。


B XX主義というのは、人間の創造物であり、虚構である。しかし、それが人間を束ね、組織を動かし強くする原動力でもある。


A 民主主義衰退が叫ばれるのは何も悪いことではない。時代に合致していた一つの創造物が、その時代の最適手段から乖離し始めただけに過ぎない。民主主義を支えるのは、相互寛容性・自制心など。


B 生活への満足度が高まり、内面的充足度を求める時代に入っていくにつれて、心的豊かさというキーワードが、XX主義においても当然重要になる。そうはいっても、生活の最低レベルが保証されてるのが前提となる。


A トルコは、エルドアンとリラ暴落というキーワードで注目されている。いま起きていることは負のスパイラルであるが、ぶらさげるニンジン効果は徐々に薄まると考えるのが自然である。


B 少しトルコについて振り返っておきたい。エルドアンは意味不明な行動をとっていると言われるが、彼の作ってきた道については、知っておく必要がある。
 
  ・エルドアンは、オスマン帝国の栄光を取り戻すというビジョンを掲げてきた。
  ・このビジョンで先導し、選挙で勝利してきた。
  ・貿易面/軍事面の両面を伸ばし、国力を強化してきた。
  ・経済成長を実現し、で国民の生活レベルを向上させた。


A 景色が変わったのが、2016年のクーデターの失敗。ここから、独裁路線まっしぐらになっている。


B 昨年(2018年)のトルコリラ暴落も忘れてはいけない。金融政策当局の信認崩壊は、何とか免れることができた。安定化したようにもみえるが、政治の緊張、ガバナンス不安、金融財政政策の不透明さ、資金と人材流出…などのは、今もリラを奈落へと引っ張る材料となっている。


A 3/31の統一地方選は重要なポイントとなる。与党敗北シナリオへと流れれば、エルドアンはバラまき政策を強化する行動にでるだろう。このバラまきはニンジンである。人気取りである。人を餌でつり、無理やりつなぎとめる策である。この効果は次第に薄れていく。


B 今、トルコに求められている常態は、中銀による金利水準の維持を行い、リラ安・物価上昇を食い止めること。しかし、統一地方選が頭にあると、やるべきことが短期視点に落ちる。


A NATO同胞であるべきのアメリカとの仲違いであったり、中銀の利下げという行動予測がある。このようなリスクを考えると、政府は、統一地方選にむけて財政支出を増加させたくなる。


B 選挙の為に、政府維持のために、ばらまきが必要な構造になっている。バラまきはリラに対しては悪材料となる。更に、人財・資金の流出も加速しているという。

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国を去ったのは学生や学者たちだけではない。起業家もビジネスパーソンも、さらには何千人もの資産家たちもがすべてを売り払い、家族を連れ、カネを持って海外に出ている。トルコ統計研究所の調べだと、国を出て移住したトルコ人は2016年に約17万8千人だったが、17年には42%増の25万人超に達した。
* Globe + 2019.02.13
 https://globe.asahi.com/article/12134680
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A 民主主義のける政権運用を考えた時に、どうしもて人気取りが必要になるケースが多発する。壮大なビジョンがあっても、支持が無ければ、それは実現できない。ビジョンに向けた戦術としての人気取りであればいいが、人気取りサイクルが短縮化し、人気取りのための人気取りが必要になっていく。


B 人間の性質を考えれば、餌をぶら下げられても長期的なやる気は起きない。短期的には意味がある。しかし、餌のスペックを落とすことは許されない。一気に、今のやる気さえも失う。


A 人気取りとしてのバラまきというのは、劇薬である。XX主義を考える時に、人間の思考や振る舞いを視野に入れることは必須となる。独裁化のメリットも強くでているのは否めない。かといって、民主主義が崩壊したわけでもない。


B トルコのような事例はいくらでもある。観察していると、やはり、「内面の充実化」という人間の根幹足る部分が軽視されがちなのかという気がしてくる。

 

/2018.02.15 JK

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