「中国、債務者の見える化」から
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3点に注目したい。
1.第五形態組織
2.完全ボーダレスで不定形のグローバルな国家級組織体
3.国家ほど建前と本音を巧みに使い分ける組織体はない
関連代表記事 Engadget 2019年1月26日, 午後12:00 in internet
https://japanese.engadget.com/2019/01/25/500m-wechat/
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A 借金踏み倒し者マップ…、監視社会の行きすぎという指摘は、これからより一層増えていく。r=500m以内にいる債務者の位置を正確に把握できることにより、借金を払える債務者を通報しやすくなる。これにより、中国政府の推す社会的に信頼できる環境へと貢献していく。
B 監視社会の行きすぎか、必要な監視か。この議論は重要であるが、本件を組織論的にみるのも、また、面白い。
A 近年は、第五形態の組織への移行期とも考えられている。これは即ち、人々の思想が進化することに伴い、可能な組織形態の幅と深さが共に大きくなっているということである。
B 監視社会の仕組というのは、旧態の組織構造として捉えられる。中国政府のアクションであったり、WeChatのMiniプログラムで提供される借金踏み倒し者マップというのは、組織を軍隊や機械のように捉える形態である。
A IoT・AIによる監視社会は中国に限らず進んでいく。表面的には、「より安全な国家」といった綺麗なフレーズを掲げることになるが、その実態は、国民(という嘘をつく生き物)の実体を確実に把握しコントロールすることである。「国家の目標とその実現」というのは、歴史的に、古い組織構造で運用されており、その規模が限りなく大きいため、新体制へのシフトが限りなく難しくなる。国家運営ほど建前と本音をみごとに使い分けている組織はないのではないか。
B 企業の中では第五形態組織が生まれ始めている。この組織形態は信頼に基づき、セルフマネジメントで、組織という共同体の意義・思想の方向に向かって運営される。透明性が前提であり、ホラクラシー的意思決定が基本となっている。
A 次世代型組織ということでティール組織と呼ばれることも多いが、上下関係とか利権などは関係なく、同じ方向性に向かって皆が力を合わせ、その状況に応じ都度フレキシブルに協力関係を構築し、セルフマネジメントで束になる状態を作っていく。これが国家に適用された場合、借金踏み倒し者マップなどは不要となる。自己浄化システムのサイクルの中で自然消滅していくことになる。
B 既存国家を第五形態組織に変えるのは、まず、無理だろう。一方で、国家級の予算をもつ企業であれば、その役割は果たせる。また、第五形態組織の普及・進化はまさにこれからであると推定される。デジタルによるグローバルネットワークもまだまだ加速する。デジタルベースでグローバルに、スタンドアローンコンプレックスのような現象を発現するのも、冗談ではない話となる。これがより組織的に、第五形態の組織構造や思想を纏い強化されると、完全にボーダレスで不定形の新しい国家級の共同体がうまれることになる。
/2018.01.28 JK