図1

「模様替え」から

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3点に注目したい。
 1.空間を定量化して分割するのは、億劫
 2.アーリーアダプターは結果ではなく、戦略的要素
 3.消費者が切望する形態へと、迅速に変化する必要がある。
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A 季節の変わり目であったり、試験などの前、或いは、子供の進学であったり、キャリアシフトの時に、「家の模様替え」をすることがある。この時には、多くの不具合・不便が発生する。

 ・どの家具をどこに動かすか
 ・空いたスペースに新たに配置するものの、寸法やデザイン性などの見極め
 ・眼をそむけたくなるよう埃・ゴミとの闘い
 ・思案、移動、掃除…等に係る労力と時間
 …など


B XaaSが伸びてシェアリング経済が進展しても自前物品は残るし、仮にシェアリング率100%という極端な世界になったとしても、これらの問題は解消されることはない。


A 家具などの物理的な移動や掃除について対応策はあるが、そこよりも「新しい配置」を考え設計することの方が、よりクリエイティブな作業であり、消費者の感じる未決課題に対する訴求度が高いと考えられる。


B 例えば、キッチンの上に配置されている収納棚の中を整理整頓するために、収納棚内部を更に分割するような工夫を施したいとする。この時にやらねばならないのは、メジャーを出して測定し、何分割するかを考え、それにフィットするカゴなどを探し、調達し、設置し、整理するという作業である。たかだか小さい整理整頓をとっても、新しい収納といった状態を考えると、作業としては重いことがわかる。


A 最も重い作業は、「測定と分割」であろう。即ち、「その空間を定量し、ここに適切な分割方法を定める」という作業である。現実はこの作業は基本的に消費者任せであり、みな、それを当然と考えている。この未決課題に対して、ワンタッチで空間を測定し適切な分割案を提案する仕組み、を提供するのはどうだろうか。


B どうやって実現するか。例えば、直径50㎜程度のほぼ球体状のデバイスをつくる。これを消費者に提供し、消費者は自分の気になっている空間の中に、このデバイスをポンと置く。「測定」ボタンを押すと、その球体位置を原点として周囲空間の座標情報を取得し、自動で空間中央位置へと更生する。これを解析して、「3分割」であったり、「収納の場合」…といった、消費者が望むような提案をしていく。提案のために、消費者はスマホから目的や好みなどを予め入力しておく。


A 収納であれば、望みの分割案が決まったならば、その分割サイズ適した収納BOXなどを購入可能となる。


B 消費者向けへの販売というのは当然視野に入るが、「家に付帯」させる形式でのビジネスを考慮にいれたい。即ち、消費者は家を借りたり購入したりすると、空間情報を貰うことができる。家具などを設置した後であれば、家についてきた球体デバイスをポンと置き測定することで、空間情報が「家具あり」などの形式で随時更新されていく。このデータを持っていれば、家具屋に行ったときも、どの空間が定量的に空いているかなどを把握できるようになる。


A 空間の定量という面倒くささをターゲットにしている以上、装置の使用方法が複雑であれば元も子もない。この観点から、「ワンタッチ」のような手軽さが1つ重要な要素となる。それは、測定もそうであるし、スマホとの連結もそうである。


B 課金モデルは詳しく検討したい項目である。家具などを提供する企業や不動産企業を相手にとれないかどうか。この検証のために、消費者が未決課題解消に感じる金銭的価値を定量しておくことが重要となる。


A ここまでの考え方は、未決課題⇒ソリューション⇒イネーブラー(テクノロジー、ビジネスモデル、その他)という流れで記載した。敢えて「セグメント」を無視してみた。セグメントというのは、新しい事業を作る際に非常に重要な要素となる。


B セグメントというのは主要顧客層であり、これと未決課題とが整合し、当然、マクロな提供価値の仕組みであるビジネスモデルとも整合する。このときに、本当に消費者が切望する(あったら便利では駄目である。なくてはならい製品である。)商品を創れるか否かは、消費者の声が製品という形に化けたかがどうかで決まってくる。


A 顧客調査などで未決課題を把握した段階で、消費者との関係性をなくし、製品開発にいそしむケースが未だに多いが、これは問題である。この隔絶したタイミングで製品が独自進化を遂げて、消費者の心と乖離し始める。


B セグメントに話をもどすと、主要顧客層を定めるのは当然重要であるが、これはスケールさせるときの議論である。もっと重要なのは製品/市場フィットまでの段階であり、この段階で、明確なポジショニングを把握することにある。これがUVP(Unique Value Proposition)に繋がってくるし、MVP(Minimum Viable Product)にも繋がってくる。


A そのためには、アーリーアダプターを的確に把握し、彼ら・彼女らと深いコミュニケーションをとることが重要となる。アーリーアダプターは結果ではなく、戦略的にコミュニケーションをとり、時間当たりの顧客に対する学習量を最大化させ、回転率の大きなインテレーションを実現して、課題/解決フィットと製品/市場フィットを満たすためにるために必要な要素である。


B 対象とするセグメントにより本質的課題が異なっており、これにより、提供すべきソリューションも変われば、コスト構造や収益の流れ、或いはチャネル構造なども変わってくる。


A 日常の気付き、特に、模様替えから始めて、頭の体操として新しいビジネス案を提示してきたが、「これでは事業にならない」と気が付いただろうか。敢えて抜かした「セグメント」が重要な要素であり、特に、アーリーアダプターの定義を飛ばしたところが最大の問題となる。


/2018.01.16 JK

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