「三連休と生産性」から
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三点に注目したい。
1.生産性の「分子」の種類
2.生産性ある活動の「構想化」
3.生産性の「分母」の種類
関連代表記事 Business Insider 3-day weekends could make people happier and more productive, https://www.businessinsider.com/4-day-week-could-make-people-happier-more-productive-oxford-study-2018-10
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A 例えば、土日月と三連続で休むと、土日休みの場合に比べ、火~金の生産性があがるというのは実感にあいやすい。二連休の場合、後ろの休日は翌日(仕事)への備え要素が入ってくるため、完全なる開放日は土曜日の一日といった扱いになるのかと思われる。三連休をいれることで精神的緩和が生じやすいし、仕事をしている4日間においても次の休日が近いために精神的余裕が生じる。
B 生産性を上げるのは重要。三連休と生産性というのは、精神面への作用の代表例であって、職場環境などもここに該当してくる。生産性を上げるというのは、要は、output/inputを最大化するということであり、時間当たりのパフォーマンスを最大化するということである。日本においては、GDPの内訳をみると、TFP(Total Factor Productivity)が他国に比べ低水準*1。或いは、2016年のOECDでみると、労働生産性は35か国中22番程度であり、ギリシャの下、ニュージーランドの上である*2。また、製造で進撃した日本は直接費の圧縮という効率化はしっかりと追求できている一方、間接費については本格的な効率化が進んでおらず、総合した場合の経営効率が低下している傾向にある。
A マクロにみても生産性は低い状況であって、特に、効率的・効果的なクリエイティビティの発揮にはほど遠い状況といえる。近年、セイサンセイという言葉が使われる機会が増加したが、気を付けたいのは、単位時間当たりのバリュー(アウトプット)を考えるときに、なんでもかんでも出力すればいいというものではないということ。
B この観点は重要。第一段階は分子に注目して、不要な仕事は捨て、自社でやる必要のないことはアウトソースする検討をすべき。やるべきは、自社のコアバリューを見極め、それと間接業務の関係性を把握すること。言い換えば、外に出すべき仕事をみきわめ、中途半端に残さないということ。このコアバリューの見極めは、効果的アウトソースに直結する。
A 分子を精査した上で、初めて生産性の議論が成立する。いかに分子を大きくし、いかに分母を小さくするのか。ここでよくあるのは、組織の末端に近いチームが試行錯誤を行い日々改善を行うという現象。改善は決して悪くないが、大局的デザインがなけば、労力の無駄、つまり、低生産性になるということである。自社という大きな括りで生産性向上をどう捉え、どのようなデザインをするか。それが先である。
B 自社の考える「生産性ある企業活動」を構想し、それをビジョン化して見えるようにしていく。それを実現するために戦略化・細分化していき、各小組織の目的・ゴールを明確にする。そこに向けて、チームとしての活動を繰り返し、好例や失敗例をしっかりとシェアし学んでいく。組織としての仕組と風土の両輪がないと、本質的な効率化はしない。
A 大局的デザインがあるからこそ、バックオフィス業務の自動化であったり、業務シェアの仕組みの導入であったり、AI導入であったり、究極のチームワークの実現への歩みが、確実なものとして踏み出されることになる。このような活動の中で、個の生産性も向上していく。特に、残っていく仕事は創造性の必要なものが支配的になるため、創造性の発揮という点で、さらなる生産性向上を追求することになる。
B 人によってはとにかく働きたい人もいる。それはそれでよい。1日4時間で十分な人もいる。それでよい。しかしいずれにしても、生産性を落としてはいけない。生産性を向上し続けることが重要であり、前提である。生産性の低い状態での残業は不毛である。
A 働き方改革の一環で残業削減などというが、残業を削減すること自体には意味はない。単に削減すれば、どこかにしわ寄せがいくだけである。やるべきは、無駄な仕事はなくし、仕事をこなす効率を高め、以前よりも短時間で以前よりも多くのパフォーマンスを出せるようにすることである。そして、創造性を出しやすい精神面へのケアを忘れないこと。
*1 METI www.meti.go.jp/report/tsuhaku2016/2016honbun/i1220000.html
*2 労働生産性の国際比較 2016年版