見出し画像

2024年おすすめ本15(ラスト)

年末までに終わらないんじゃないかと思っていたおすすめ本の記事も、今回でなんとか一区切りできそうだ。
ラストはこちら。

「STONER」ウィリアムズ

〈あらすじ〉
半世紀前に刊行された小説が、いま、世界中に静かな熱狂を巻き起こしている。
名翻訳家が命を賭して最期に訳した、“完璧に美しい小説"
(Amazon商品解説より)

〈感想〉
ある冴えない英文学教師の一生、と簡潔に内容が表せてしまう小説。
あまりに地味なあらすじでありながらページ数が多いので、飽きずに最後まで読めるだろうか...と長いこと積んでいた。
結果それは杞憂で、もっと早く読めば良かったと後悔している。
 
翻訳の良さもあってか、流れるような美しい文章に宿る生命力に圧倒された。
大きな出来事が起こるわけではないのだが、印象的なシーンが2箇所あった。
ひとつはストーナーが学問の魅力と偉大さに気づく場面、もうひとつは彼の人生の締めくくりの場面だ。

人生は幸、不幸の繰り返し。
自分の生涯を振り返ったとき、彼は最期に何を思っただろうか。

まったく共通項のない人物なのに、彼の人生を追体験しているかのようで、これこそが文学の真髄なのだ、と心震えた。
この本と出会えて良かった。
読む年齢によって印象が変わる気がするので、折に触れて再読しようと思う。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集