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電車で本を読んでみたい
出かけるときは本を最低1冊、持ち歩く。
待ち合わせの相手が遅刻したり、電車が止まったりしたときも、本があれば「まあ、そんなこともあるさ」と心の平穏を保てる。
持ち運び用のポーチに入った文庫本は荷物の中で、日々貴族のような扱いを受けている。
電車に乗っていると、座って本を読んでいる人をたまに見かける。ほとんどの人は寝ているか、スマホを触っているかなので、自ずと目が引き寄せられる。この裁断の仕方は新潮かなぁとか、この鈍器本は⚪︎⚪︎さんの著作かなぁとか勝手に想像して楽しんでいる。
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私も電車の中で本を読める人になりたい。
常に持ち歩いているのに、それができないのは極度に乗り物酔いしやすいからだ。
乗り物の移動時間は、私にとって酔いとの熾烈な戦いの時間でもある。旅行で新幹線やバス、車での長距離移動が想定されるときは、予め酔い止めを飲んでいく。
電車でちょっとお出かけ(30分くらい)というときは、基本的に酔い止めは飲まなくても大丈夫。
それでも体調が悪いとムカムカしてしまうことがあるので、酔いを誘発する行動はできない。
飴玉を舐めたり音楽を聴いたりして、少しでも酔わないように心がけている。
もちろん音楽を聴きながらゆったり過ごすのも悪くはないのだが、この時間に本が読めたら、と思うことはよくある。そのとき読んでいる本がおもしろければおもしろいほど、ああ、あの続きが気になる…!と震えるような思いだ。膝の上にあるのに、本との距離の遠いことといったら。
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家族旅行の車移動で酔いに苦しんだ子ども時代。大人になったら乗り物酔いは治るよ、と背中をさすられつつ言われていたけれど、そんなの嘘じゃないかー!と親に抗議したい。
三半規管が未発達のまま大人になってしまったらしい。おばあさんになったら、さすがに乗り物酔いは解消されるだろうか。その前に体力的な問題で移動できなくなるかもしれないが…
到着駅までもう少し。
口に入れた飴玉が小さくなればなるほど、縮まっていく私と本との距離。
カフェで本を取り出す至福のときを思い浮かべながら、ドアが開くのを待っている。