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日本人デザイナーが陥りがちな、ネイティブにとって読みにくい英文統合報告書レイアウトの失敗例7選

日本企業が発行している英文統合報告書は、多くの場合、まず日本語版を制作し、その和文を英訳原稿に差し替えるという流れで作られています。しかし、普段英文を読むことが少ないDTPオペレーターがこの差替えレイアウトを担当すると、非常に読みづらい紙面になってしまうことがままあります。和文を単純に英文に置き換えただけといった稚拙な紙面は、企業イメージの低下にも繋がりかねません。今回は、そんな典型的な事例とそれらを避けるためのコツをご紹介します。

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日本企業が統合報告書決算説明会資料などの英語版を作成する場合、ほとんどの場合、日本語版のレイアウトデザインがそのまま流用されています。言語によって情報の質や量に差が生じることは、ユニバーサルなIRという観点からも望ましくありませんので、このアプローチ自体は妥当でしょう。ただ、問題はその見た目です。英語ネイティブあるいは普段から英語に接している者が見ると、明らかに読みづらいものが多くあります。その原因は、大抵の場合、欧文組版の定石に対する認識不足で、和文組版(文字サイズ、行間、コラム幅など)の設定がそのまま流用されてしてしまっているケースも多くあります。

以下、典型的な例をいくつか見てみましょう。

1. 行間が広すぎる

「社長メッセージ」など、文章主体で比較的余裕のあるレイアウトが組まれている場合に起こりがちなパターンです。一般に日本語の文章を英訳してそれを同等サイズの英文テキストに置き換えると、物理的なボリュームは1.2〜1.3倍程度に増えます。それを同じスペース内に収めようとすると、必然的に英文テキストのポイント数を下げざるを得なくなります。しかし、文字のポイント数だけを下げて、行間のポイント数を変更しない人が結構います。そうすると、文字サイズに比して行間が広すぎるため、テキストがパラパラして、読みにくくなってしまいます。

では、どのくらいの行間が適切なのでしょうか? フォントの種類やコラム幅(行の長さ)、原稿の性格などによっても変わってきますが、大まかに言うと、本文の場合、テキストのポイント数の1.1〜1.3倍(本文が10ptなら、行送り11〜13pt)くらいまでが読みやすい行間だと言えるでしょう。普段から英文を読み慣れている人であれば、感覚的に読みやすい行間が分かるのですが、そうでない人はこの行間を意識してレイアウトした方が良いでしょう。

上のレイアウトの本文の行間を調整した例。

2. コラム幅が広すぎる(1行あたりのワード数が多すぎる)

「コラム幅」とは、日本語で言う「段組み」の段の幅(=「組み幅」)のことです。この場合、「広すぎる」と言うのは、文字サイズとの関係における相対的な広さ(長さ)です。「行が長すぎる」と言い換えても良いでしょう。本来、行の長さは、読み手の目が次の行頭に移る際に眼球を動かしていると意識しない程度にするのが理想です。しかし、英訳版ではテキストのボリュームが元の和文より増えるため、文字のポイント数だけを下げてコラム内に収めようとするDTPオペレーターが多くいます。そうすると、1行あたりの単語数が増え、その結果、読み手は、各行末で眼球を右から左に戻す動作を意識しなければならなくなってしまいます。書体にもよりますが、1行に15ワード程度以上もあると、大抵の人は読みにくさを感じてしまいます。

これを回避する方法のひとつに、段組み(コラム)の数を増やすという方法があります。下の画像はその例ですが、こうすることで、読者が目の動きを意識しなくても良い程度の組み幅になります。また、こうすることで、文字サイズを極端に下げなくても限られたスペースにテキストを収めやすくなります。

本文を2コラム立てにして行幅を短くすることで目の動きが小さくて済むようになり、読みやすくなります。

3. 1行のワード数が少なすぎる

このパターンは、サイドコラムや、写真の横のリードなど、テキストを配置するスペースが限られている場合に起こりがちな例です。上の画像のように、1行に2ワード以下の行が続くと、読み手は息つく暇もなく行から行へと目を動かさなければなりません。加えて、段落や文全体がひと塊に見えてしまうため、1ワードずつ読み進める意欲が無意識のうちに減退してしまいます。

このような場合に有効な手段のひとつに、コンデンスドフォントを利用する方法があります。「コンデンスドフォント」(condensed font)は、そのフォントファミリーの通常形(regularもしくはnormal)よりも狭い横幅でバランスが取れるようデザインされたフォントのことで、当然ながら、同じスペースにより多くの文字を収めることができます。

コンデンスドフォントは少し詰まった印象になるため、テキストボリュームの多い本文にはあまり推奨できませんが、スペースが限られている狭いコラム内や図表内、キャプション、見出しなどにおいては有効な選択肢です。このほか、例えば、和文でボールドタイプが使われていても英文ではボールドを避けたり、書体によっては、文字のボリューム感を和らげられる「light」や「thin」などのバリエーションを使う方法も考えられます。何れの場合も、3ワード未満の行が続くようだと読み手はストレスを感じてしまいますので、1行に極力3ワード以上収めることを意識すると良いでしょう。

〜この後、次のような項目がつづきます〜

4. 段落替えが明確でない段落始まり
5. 両端揃えによる単語/文字間の空きすぎ/詰まりすぎ
6. 余白が少なく、窮屈に見える
7. 原稿を読ませようという意図が感じられない

〜つづきは、下記のリンクからご覧ください(ウェブサイトへ移動)〜


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