ちょっと(本当に)入院してきました
To make a long story short.(話せば長いので短く言うと)
なんやかんやで手術した方が治るかも
ということで入院してきました。
左手の関節の病気で病院に3泊してきました。手とは言え、神経のある個所を避けないといけないので全身麻酔の方が安全です、と説明を受け自動的に入院となりました。実はもう2年近くこの痛みと闘ってきているのです。
それでも立って歩けるし、食欲もあるし、そんな長い間貴重な病床を占拠する訳にはいきません。僕よりひどい症状の方はたくさんいらっしゃいます。
1泊で退院するつもりで行ったんですが、結果3泊に。執刀医としては4泊すら考えていたような感じでした。
まぁ痛かったですよ。まだ痛い。しばらく痛いらしい。毎日痛み止めを飲んでます。早く治れー。
1. 英語の違い
入院は I'm in the hospital.です。
at the hospital だと、ただ誰かの付き添いで病院に来たことに。
ちょっとした2文字で大きく変わるのです、面白いでしょ?
ちなみに
He works at a hospital.
だと「彼は医者です」という意味になります。
"the" が "a"になるだけでも意味合いは変わってしまいます。
「彼はあそこの病院で働いています」だと
He works at the hospital.
日本の学校ではこういう風に、ニュアンスの違いの説明になかなか時間を割いてくれないですよね。へーって面白く感じてもらえると嬉しいです。
もっと面白い体験してきました。いろんな気づきも。
Everything happens for a reason.
起こるものごとには全て理由があるのです。いろんなことが勉強。
2. 1日目(手術 前日)Wi-Fiに絶望
朝入院したけどまぁ暇。院内にあるコンビニに行くことだけが楽しみ。
一番ショックだったのはWi-Fiが終わってること。Wi-fi完備と書いてあったのでネトフリなど満喫するつもりが、まぁ重い重い。絶望でした。動画どころかニュースのページすら開くのにとてつもない時間を要します。
病院食の質には期待していなかったのですが、僕的には満足でした。ふつうに美味しかったですよ。絶対外国の病院食より良いと思います(外国で入院したことないけど)。日本でも病院によって差はあるのでしょうが。何よりもベッドまで配膳してもらうのがありがたかったです。
診察時間が終わった後の大きな病院の中は真っ暗。こんな機会しかありません、少し探検してみました。ほとんど人にも出会わずほんとうに静か。気持ちの良い所ではないことは確かです。唯一のコンビニが暗い中とても眩しく光っていました。
初夜は眠れなかったなぁ。
隣の人のいびきと、たぶん歯ぎしり?がとてつもない。
4人部屋に入ったものの、各ベッドはカーテンで仕切られているのでどんな人が寝ているのかは見えません。
消灯時間が過ぎると直上の電気は消えますが、うっすらとカーテンの向こうは明るい感じです。真っ暗だと行ったり来たりしている看護師が作業できませんものね。院内がシーンとなって気づいたんですが、結構頻繁に救急車の音が聞こえます。こんなに病院に出入りしてるんだって。世の中あちこちで大変だ。
3. 2日目(手術 当日)病院でオーメン
昨夜の夕食の後から絶食。
9時過ぎに手術室へのお誘い。歩いて行きました。
たぶん医師や看護師は何も思わないんだろうけど、手術室かっこいいー。
まぁ明るい。広い。端末や機械だらけ。
僕らが自分のコックピット入っても何も思わないのときっと同じなんだろうなぁと思いながら手術台に寝転びました。ちょっと小さいな。
知ってました?手術台の上にあるものはどの角度から見ても影ができない照明になってるって。すごいでしょ。お友達のお医者さんに教えてもらったことがあります。
全員がマスク・ゴーグル・キャップの姿で見分けがつきませんが、たぶん3人くらいの方が忙しそうに準備をテキパキと始めてくれました。いろんなものが体につけられていきます。自分の心臓の音が電子音として部屋にこだまし始めました。お、すご。まだ作業が続く中ちょっと遊んでみました。呼吸を浅くしたら心臓の音が少しゆっくりになって、戻すとバクバク普通のペースになりって。質問がたくさん湧いてくる。いろいろ聞きたいなぁ。
麻酔を入れますねぇと。前回は(人生2度目の手術)眠りに落ちた瞬間がわからなかったので今回こそは頑張ってみよう。20秒程でだんだんウトウト。お、きたきた。絶対に落ちる瞬間を記憶してやる。う、虚ろになってきた。眠い。耐えろ。・・・ん?名前を呼ばれた。目を開けると病室にいる。
あー、手術終わってるー。ダメだったか。麻酔に勝てるわけがない。そういえば手がじんじんする。まだ眠い。先生が手を握れるか、親指や小指は曲がるか、と。全て問題ないことを確認後、安心した様子で去っていきました。眠い。
As I came out of anesthesia, my wife showed up with WiFi !!!
(麻酔から目覚めると妻がWi-Fiを持って現れました!!!)
先生と入れ違いに妻が入ってきました。そうWi-Fiをもって!
きたー。ありがたい。感謝。素晴らしい。手の手術なんで特にお見舞いはいらないよと言ってあったのですが、昨日Wi-Fiを頼んだので持ってきてくれたのです。僕にとっては妻が来たというよりは、Wi-Fiが来た。と言ったら怒られますね。
まだ酸素マスクをしている僕を見て「やっぱ痛々しいねと」
そう?鏡があるわけでもないので自分がどんな姿をしているのかもわかりません。点滴だの包帯だのいろいろくっついてるんですね。
かわいそうに思ってくれる人がいるのは幸せなことです。
面会時間は14時からなので、9時過ぎから結構長い間眠っていたんですね。
全身麻酔をすると体が呼吸を忘れるくらい深い眠りに入って呼吸が浅くなるのだそうです。だから酸素マスクをずっとつけてるんですって。
夢のMobile Hotspot(ポケットWi-Fi)をPower Bank(モバイルバッテリー)と一緒に持ってきてくれました。Yay!
Hotspot自体は「Wi-Fiが使えるスポット」を示します。公共の場にあるような。それと「携帯するHotspot」を区別する為にMobileという単語を使うんです。たぶんPower Bankなんて知ってないと想像もできない単語だと思います。でも今の時代、毎日のように日常会話で使う単語です。海外旅行で使える知識でしょ?
それから冒頭で説明した通り、
まさにこの時の妻は、She was at the hospital.
僕は、I was in the hospital.
だったのです。
目覚めてから4時間は一人でトイレにも行かせてくれなかったです。倒れるかもしれないからと。確かに時間がたって看護師の許可をもらってトイレに行く際ふらつきました。頭がふらふらー。当然シャワーも浴びれません。食後に結構意識もしっかりしてきたのでコンビニに行こうと思ったら止められてしまいました。危ないと。広い病院どこかで倒れらても助けに行けないからと。
元気なんだけどなぁ。ふふふ。Wi-Fi来たよね。
やりたかったことがあるんです。それは・・・
夜の病室で"The First Omen"「オーメン:ザ・ファースト」を観ること。
消灯してからどれだけ怖いのか肝試し。確かに怖かったですよ。
でも想定してなかった外部からの怖さというものがありました。
それはカーテンの向こうを突然動く看護師の影。
合計4回びくっとしました。こういうシーンが実際に映画内にたくさん出てくるんです。リアル感半端ない体験型劇場でした。
4. 3日目(手術 翌日)近所の噂話
残ってた麻酔のお陰でしょうか よく眠れました。そして元気よく朝食。
パンは温かいんです。病院なのにすごい。ありがたいばかりです。でも冷たいミルクはつらいなぁ。温かいもの飲みたい。食後もまだ点滴のせいか眠い。
今日帰れるかなぁと思ってたんですが 無理のよう。もう元気なんですが。
4錠も飲む痛み止め。確かに痛いけどダメですか。
昨日もそうでしたが、今日もやたらと看護師にお通じはあるかと。
Bowel Movementと言います。外国で病院にかかった時は知ってると役に立つ言葉ですよ。病院関連では頻出です。
昨日はほとんどベッドの上で過ごしたので腸の活動はおとなしいようです。久々にお通じという言葉を聞いてなんか日本語って優しい言葉だなぁとつくづく感じました。こういう直接言わない表現って日本語は得意ですよね。
夕方前に全ての点滴終了!これでやっと自由の身。手術後は抗生剤を入れて感染を防いでくれているんですね。
日中ずっとベッドに寝転んでいると、カーテンの向こうからいろんな会話が耳に入ってきます。お隣さんはどうやら若い男性。昨日は奥さんがお見舞いに来ていたようでした。
「あ、○○さん覚えてます。またなんですね。え?何回目?」
という看護師の声。
なんと彼、1年で4回目の入院だそう。えー!何の病気?大変。
「奥さんは?」の問いに「え?どっち?離婚したから。」え?昨日来てたのは今の奥さん?え?ここ1年で離婚して4回の入退院の間に再婚して?今は仕事ができてない。なんだ??!!
お向かいさんは、今朝入院してきたどうやらおじいさん。4人くらいで来てる家族の声がとても大きい。今は面会の時間ではないので入院の手続きが終わったらお帰り下さいと、看護師が1時間前に説明していたが・・・。
どうやら車いすの生活になるようで看護師も家の作りについて質問をしていました。家は一戸建て?マンション?エレベーターはある?
聞こえてくる声によるとなんと4階建ての一戸建て。え?すご。地下から入ってどうのこうの。けど階段で3階まで上がらないといけないからとか。
バリアフリー設計で手すりはついている。自分が建築士だったからそう設計したと。
本当にここまでうるさいと迷惑だなぁ。不安なのはわかるがずっと質問攻め。なるほど、だから面会時間って決まってるのか。あとお話する時はロビーでと言ってたのが頷ける。
I didn't mean to eavesdrop.(聞き耳を立てているつもりはないんです)
(*eavesdrop:盗み聞き)
耳をそばだててるわけでもないのに否応なしに勝手に入ってくる情報。
もうなんか聞きたくない。散歩に行こう。コーヒー買いにコンビニへ。
エレベーターを降りるとあるこの案内板。
何度見ても一瞬、麻薬を売ってる場所があるように見えてしまうのは僕だけ?
今夜の個人上映会は、"A Man Called Otto"「オットーという男」。
感動しました。お薦めです。入院中に2作品も観れたのはやはり妻のお陰。Wi-Fiありがたや。登場人物の女性のメキシカンアクセントがなんともかわいい。皆さん吹き替えで観ないメリットはこれです。アクセントがあるって良いことなんですよ。それぞれのお国柄が垣間見れて、アクセントって素晴らしい!って。日本人は日本人のアクセントにもっと誇りを持つべきだと思います。カリフォルニアアクセントで話す帰国子女が必ずしもカッコイイわけではないのです。
5. 4日目(退院)まぶしい
「普通が一番」。僕の祖母の言葉です。幼少の頃は理解できなかったけど、普通って素晴らしいのです。とびっきり健康である必要はないんです。自分の足でなんてことなく帰れるというのは奇跡に近いほどのことなのです。
廊下で車いすに乗ってるおばあちゃんとすれ違いました。何人か看護師が後ろからついてきてて「すごいすごい!」と。周りの人も敬礼でもするのかというくらいの姿勢と眼差しで見守っています。なんと102歳!だそう。自分の両手で力強く車いすを回しているというのがとてつもないことだと。ほんと僕なんかなんでもない。
ということで、ようやく先生が僕をdischargeしてくれました。
(*discharge:退院)これで帰れます。
「お世話になりました」とナースステーションで挨拶。
いろんな看護師がいました。両手にひどい傷の跡がある人。先を読んでとても気が利く人。話しかけ方が超絶に甘い人。だいたい優しい人ほど、過去に辛い目にあってることが多いように普段から感じています。それぞれのきっかけがあって今の仕事についている。優しさの裏を想像して接していると、とてもじゃないけど横柄に振る舞うことなんてできません。
会計を済ませて駐車場へ向かうと、サングラス姿の妻が車の前で立っていました。そう太陽が眩しいのです。4日ぶりの直接太陽の下。目を開けてるのがしんどい。まだまだ日中は暑いんですね。そういえば院内ではずっとTシャツ1枚でした。24時間快適な温度にしてくれているんですね。感謝が絶えません。
またしばらくしたら抜糸に来ます。
Hope you all had fun going through my story.
Until next time.
(hopefully not from the hospital again)
寺ピー
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