荒木ワールドが炸裂!『バオー来訪者』
荒木飛呂彦先生と言えば、『ジョジョの奇妙な冒険』が代表作ですが、個人的なイチ押しは、何といっても『バオー来訪者』です。この作品は週刊少年ジャンプに連載されたマンガで、荒木先生のデビュー作です(たぶん)。まだデビューしたばかりなので、作画はジョジョシリーズのように洗練されていませんが、それを補って余りある破壊力満点の作品です。
バトル物でありそうな設定ですが、主人公は悪の特殊機関によって改造手術を施されます。なんだか仮面ライダーのような始まり方ですが、その改造手術がサイボーグ手術ではなく「生物兵器・バオー」の埋め込みと言うんだから、最初から発想がぶっ飛んでいます。アニメや映画化された『寄生獣』を知っている人なら、全然たいしたことないやと思われるかもしれませんが、『寄生獣』が描かれるのは、このマンガのズーーッと後になります。
バオーは寄生虫なので高度な知能は持ちませんが、宿主の感覚器官を借りて、外部の世界を敏感に感じとる事ができます。「バオーは感じた・・・」、「バオーは思った・・・」などのセリフを今でも思い出します。バオーは普段は表に現れませんが、宿主がピンチになると、宿主である主人公を戦闘モードに変身させます。これが、バオー・アームド・フェノメンです。また、中2ゴコロをくすぐるような、バオー・ナンチャラ・カンチャラ・フェノメンといった舌を噛みそうな必殺技も数多く出てきます。代表的な技はバオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメンです。どんな必殺技なのかは、ぜひ原作を読んで確認してください。
寄生して宿主を意のままに操るなんで現実的ではないよ、と思われるかもしれませんが、このような寄生する菌類や虫は結構います。ある種の菌類はアリの脳を乗っ取るし、ある種のハチはゴキブリの体を麻痺させます。いずれも寄生体による宿主のゾンビ化と呼ばれる行為です。研究者によれば、宿主のゾンビ化は、動物界では非常に広く見られる現象、つまりコモン・フェノメンとのことです。
昔のコミック本は2巻構成でしたが、最新のは1冊にまとめられています。ジョジョ好きで、まだこの本を読んだことない人には、絶対お勧めです。荒木先生の原点が見えてくる最高の一冊です。
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