料理マンガの先駆け 『包丁人味平』
『包丁人味平』は、原作が牛次郎先生、漫画がビッグ錠先生の料理漫画です。主人公の塩見味平は、熱血漢のコック見習いでしたが、”訳あり料理人”との交流で料理の奥深さに触れ、ライバルとの料理対決や仲間との協力を経て、料理人として成長していきます。
この漫画は、1973年から1977年にかけて『週刊少年ジャンプ』に連載されていて、私はリアルタイムで読んでいました。また、はじめて自費で買った単行本(全23巻)が、この漫画でした。オリジナル単行本は現在は古書になっていますが、コンビニコミック版が小学館より刊行されているようです。
このマンガには、その後の料理マンガの二大要素である”料理うんちく”と”料理対決”が、きっちり描かれています。私は少しだけ料理をしますが、そのキッカケはこのマンガでした。時代背景が今から半世紀前の昭和であり、料理といえば”母の手料理”というイメージの時代でしたから、”青年が料理に打ち込む姿”はとても新鮮に映りました。
蘊蓄好きを自認する私ですから、作中の出てくる料理ウンチクは垂涎モノでした。このマンガで、色々な料理ウンチクを知ることになりました。これらの料理ウンチクは、その後に大ブームとなる料理マンガ『美味しんぼ』にも連なります。
また、少年マンガに欠かせないバトル要素も十分で、流れ板・仲代圭介との包丁試し、包丁貴族・団英彦との点心礼勝負、無法板の練二との荒磯勝負、その他にカレー勝負やラーメン勝負もあります。時には勝負に敗れることもありますが、料理対決を軸に物語が進んで行きます。美味しんぼの主人公・山岡士郎と違って、味平は”発展途上の料理人”です。おそらく当時の少年/青年は、味平に自分を重ねながら読んでいたことでしょう。
『料理の鉄人』という料理対決のテレビ番組があり、グルメブームも追い風になって大人気番組になりましたが、この番組の発想には、『包丁人味平』が絡んでいることは間違いありません。たぶん・・・。
このマンガを読むと、料理が好きになり、自分で料理してみたくなるはずです。『包丁人味平』は、今こそ読みたい”料理の”神マンガです。ぜひ、ご一読を。