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本棚の中身・芥川賞とか直木賞

第一次書棚整理が終わる(第二次がいつあるかは誰にもわからない)。200~300冊位は減らせたんじゃないか。これからは増加に歯止めをかけるべく随時見直しを図っていく「つもり」。

ところで直木賞や芥川賞受賞作品というのはどれだけ本棚にはあるのだろう。こと小説に関しては、これが今回の受賞作ですと言われてすぐさま本屋に、ということは全くない。2~3年後に作者や作品の記憶が頭の片隅に残っていたら、本屋でばったりで出会ったときに手に取ってみるというところ。本屋大賞だろうが谷崎潤一郎賞だろうが山本周五郎賞だろうが同じ。時間が経過しても自分の中で印象が色あせてなければ「買い」。だから否応なしに文庫本が多くなる。

日本文学振興会によると、芥川賞は「雑誌に発表された、新進作家による純文学の中・短篇作品のなかから選ばれ」て、直木賞は「新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)が対象です」とある。純文学とは「芸術性」「形式」を重んじて、直木賞の対象とされる作品は「娯楽性」「商業性」を重んじるいわば大衆小説と呼ばれるものと、昭和のままの解説もいまだに多い。その体だけは整っているように見えて人間がぜんぜん深掘りされていない純文学もあれば、手に汗をにぎるようなワクワク感の中に人間というものが余すところなく表現されているエンタテインメント作品もある。だいたい大衆文学って今日日誰がいう?

ということで、本棚に今もある両者の受賞はこんな感じ。
芥川賞は、古い作品から順に。

安部公房「壁」(第25回)、開高健「裸の王様」(第38回)、柴田翔「されどわれらが日々」(第51回)、庄司薫「赤頭巾ちゃん気をつけて」(第61回)、古井由吉「杳子」(第64回)、中上健次「岬」(第74回)、村上龍「限りなく透明に近いブルー」(第75回)、池田満寿夫「エーゲ海に捧ぐ」(第77回)、池澤夏樹「スティル・ライフ」(第98回)、南木佳士「ダイヤモンドダスト」(第100回)、川上弘美「蛇を踏む」(第115回)、綿矢りさ「蹴りたい背中」(第130回)、中村文則「土の中の子供」(第133回)、村田沙耶香「コンビニ人間」(第155回)

直木賞は

野坂昭如「アメリカひじき・火垂るの墓」(第58回)、佐木隆三「復讐するは我にあり」(第74回)、つかこうへい「蒲田行進曲」(第86回)、山田詠美「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」(第97回)、ねじめ正一「高円寺純情商店街」(第101回)、金城一紀「GO」(第123回)、恩田陸「蜜蜂と遠雷」(第156回)

この中で唯一「蹴りたい背中」だけが単行本での購入。2003年発表、このとき綿矢りさは大学生。書き出しに選考委員の三浦哲郎が「不可解な文章」と難癖をつけたが他の選考委員の支持で受賞した経緯がある。村上龍の時といい、音楽でいえばサザンオールスターズの登場時とか、価値観は常に揺らされていた方がいい。選考委員を悩ませる作品がどんどん出てきてほしい。


見出しのイラストは「TOMO」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。








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