土井利勝と夏休み。
Eテレ「知恵泉」で土井利勝をやっていたので思わず観てしまった。土井利勝といえばこの佐倉の城下町を実質的に整備した大名で、初期の江戸幕府を語るには欠かせない人物だ。地元愛につき動かされて観たわけではないが、2代将軍秀忠の禁煙令に対し、家臣が隠れて吸っている現場を押さえ一緒に吸ってみせるところなどはなかなかにやるではないかと思う。聴いているとかなりバランス感覚に長けていた人物のようで、こういう人間を敵に回すと厄介だ。
しかし極私的には土井利勝と聞いて思い出すのは、夏休みの肝だめしとカブトムシ採りだ。育った家のすぐ近くに松林寺という小さな寺院があり、ここの墓地で夏休みには子供会の肝だめしが行われていた。細長く奥行きのある墓地を最奥まで行って戻ってくるのだが、やや無造作に配置された墓石はほどよい不気味さで格好の舞台になった。朝はカブトムシやクワガタ採りである。夜明けを待って墓地の樹木を攻める。カラのままの虫かごで戻ることはほとんどなかったと思う。いい時代だったなー。
休日には父親が虫採りに参戦することもあった。そこで墓地の入口の通りに面して建てられたたいそう立派な墓石が土井利勝の養父母及び正室の墓であることを教えてもらった(はず)。「はず」というのは、いつの間にか自分の記憶の中では土井利勝の墓ということで固定されてしまい、大人になってもしばらくその勘違いは解けなかったのだ。市史の編纂委員だった父親が間違う事は限りなく考えにくく、子供心に養父母や正室という七面倒くさいワードを勝手に自分が消してしまったのだろう。松林寺は佐倉藩主だった時に建立された土井家の菩提寺。ご本人の墓は、その後加増転封となった古河藩にある。
ということで昭和のなんともスタンダードな夏休みの一コマは土井利勝が提供してくれたといってもいいのです。(写真は千葉公園の大賀ハス)
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