スギアカツキ【たまごのはなし】第15回 へしこのパスタを最高に美味しくするキーマンとは!
2018年も残り少なくなってまいりました。皆さんは今年、どんな“おいしい”を体験しましたか? こだわりの美食、楽しい宴会、サプライズパーティ、心温まる手作りご飯……人によってさまざまかと思います。今回は、そんな一年の総まとめ。この一年に、私の心に深く刻まれた食べ物の話をさせていただきたいと思います。
私が今年、最も心に残った食べ物はといえば、二つあります。「パスタ」と「へしこ」です。
今年の11月、私は初めての著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)を上梓しました。本書は、多くの人が愛してやまない「パスタ」をおいしく食べながら、科学的根拠に基づくダイエット法を提案し、それをレシピにまとめた内容になっています。その執筆にあたり、本当にたくさんのパスタを食べたことは、これまでの食人生の中でも忘れられない思い出となりました。ここで得た結論は、「おいしい」と「健康」は両立できるということです。詳細が気になる方は本をご覧いただくとして、二つめにいきましょう。
「へしこ」とは、福井県若狭地方の伝統料理である「魚介類のぬか漬け」のこと。通称「海のチーズ」とも呼ばれ、その熟成された独特の甘み・香りは、地元民だけでなく、多くの食通を虜にするほどの魅力を持っています。種類としては、サバ、イワシ、ニシン、イカなどがありますが、王道は「サバ」でしょう。私はこの「へしこ」のおいしさを伝えるべく、一年を過ごしてまいりました。
そしてここでは一年の総まとめとして、この2食材を使って「へしこのパスタ」を作ろうと考えました。えっ、“たまご”が出てこないって? いやいや、実は“たまご(卵黄)”こそが、この二つの食材の魅力をより高めて調和させてくれた、最高の橋渡し役だったのです。
うんちくはこれくらいにして、作り方をご紹介することにしましょう。
簡単なのに感動の味! へしこパスタの作り方
【材料】
パスタ…100g
へしこ(半身タイプ)…2.5cm分
卵黄…1個分
オリーブオイル…大さじ1
あさつき(青ねぎや青じそでも代用可能)…適量
【作り方】
1.へしこのぬかをキッチンペーパーなどで落とし、大きな骨を除いてから、細かく刻む。アルミホイルに乗せて、オーブントースターで2分程度焼く。
2.パスタを表示時間通りに茹でる。その間にボウルを用意し、焼いたへしこ、卵黄、オリーブオイル、刻んだあさつきを入れ、軽く混ぜ合わせておく。
3.茹で上がったパスタを2のボウルに加えて手早く混ぜ合わせる。
はい、これで完成です! お好みの器に盛り付けて召し上がってください。
へしこが放つ、力強い風味と濃厚な旨味・塩味が、卵黄によって包まれ、それらをすべて受け止めたパスタが口の中に広がる幸せを、ぜひお試しください。年忘れになるほどの口福となりますように!
文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
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