映画「怪物」のセリフから
「誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。誰でも手に入るものを幸せって言うの」
映画「怪物」で最後の最後に校長が麦野くんに言う言葉について。
私は、「幸せは特別なものじゃないのよ。そこにあるのよ」という意味かなと思った。中身は「それぞれ」違うけど、誰にでも手に入れることができるのだよ、と。
違うかなあ。わからん。
この映画自体よく分からないどころだらけ。
私も映画の感想を書いたけど、「見る人によって思いは違う」と書いた。「ひとそれぞれ」って。
この前の「哲学対話」のこと書いたが、そこでは、「結局人それぞれ」という言葉を言わないという約束があるそうだ。
「人それぞれ」便利な言葉だと思う。多様性を認めているようで、でも、確かにそこで論議が止まってしまう。うまくまとめてしまうのだ。
私の話や文章の特徴として、「うまくまとめてしまう」というのがある、と自分で思っている。もっと深めたらどうなるのか。まとまらなくても深めることはできるのか。
先ほどのセリフの話に戻る。
このセリフは、麦野くんに宛てたというより、校長の心のセリフ、あの校長だからこそのセリフかじゃないかと思う。自分に向けて言っている(と思う)
言い換えると、「私は誰にでも手に入る幸せは手に入れていない。自分しか持っていない幸せはあるけど、それは本当の幸せではない」
映画の中で、この校長、なんてひどいやつだと何回も思った。でも、校長は校長でつらい思いをして苦悩しているし、いわゆるみんなが手にしている「幸せ」を手に入れたかったのだろうと思う。
と、これは私の解釈。解釈は人それぞれ。(言っちゃったぞ)
結論はコレ!と明示しないから、映画はいいんじゃないかなあ。制作者の意図は分かりたいが。こんなふうに深めて考えることができるのが映画の、いや芸術の良いところなのかな。
*思いのままに書きました。最後はやっぱり、まとめていますか?
いろいろと考えさせてくれたクリエーターに感謝を込めて。