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読書日記「あなたがいるだけでこの世は意味がある・・・」
福祉センターに行くことがあり、そこのライブラリー(図書室)で借りました。精神科医、松本一生先生の本です。
この前、「新聞より」の中で紹介した、認知症専門医の先生です。
副題が「妻のケアで思うこと」
奥様は、ご自分のお母さんの介護が終わった途端に体調を崩されます。介護を熱心にされた後、気が抜けたように精神的に不安定になられたのです。若いので介護サービスも拒否され、先生を全面的に頼る生活になりました。
先生がいないと不安になるので、講演も泊まりの仕事は行けなくなりました。この本は、そんな生活の中で感じたケアについての思いを率直に書いておられます。自分が介護者になったことで感じることも。
本の中でご自分で書かれていたように、先生は精一杯自己開示されています。「そこまで控え目に言わなくてもいいのではないか」と思うことも出てきます。
仕事のことでも、認知症の方とご家族の立場になって支援されているのに、「私は患者さんの支えになっているだろうか」と言われます。
奥様の介護でも、「私はこんなに頑張っています」とか「良い介護をしています」とか言いません。時には「弱音」と言っていいような言葉もあります。
でも、私は、「これは先生の優しさだ」と思いました。常に相手を想い、自分をおごらず、でもできることは一生懸命に取り組む。それが本の中に溢れていると思いました。
そして、これは介護されている家族に向けて、「時々はうまくいかないこともあるかも知れないけど、でも、それでいいんだよ」「自分もそうだから」と言っておられるように思いました。
「介護はいつ自分の身に起こるかも知れない」
「介護する方も自分を大事にしてほしい」と先生は言われます。
そして、介護職へのエールを送っておられます。本文とは別の枠を使って。
「介護職が、仕事としてできることも、家族に対してはできないこともあるよね」「自分を大事に」と。
朝日新聞のコラムと同様に、先生の穏やかなお人柄があらわれているような文章でした。
『あなたがいるだけで この世は意味がある・・・』
この「あなた」は、患者さんであり、ご家族であり、介護職であり、奥様であり、そして世の中のみんなのこと。
本のタイトルに込められた想いを受け止めました。
でも、文の終わりの「・・・」は何か意味があるのかなあ。言い切っても良かったのでは?
先生らしいか。
見出しの写真
大好きだった祖母からもらった博多人形。