’’D&Iを社会のあたりまえに’’していくために。【#好きな形で働くvol.1 鈴木美帆】
株式会社JobRainbowは、テクノロジーとD&Iの確かな知識で、不公平な社会構造の変革に取り組むソーシャルベンチャーです。社会変革に挑むJobRainbowは、どんな会社で、どんなメンバーが働いているのか。これまで伝えきれなかったJobRainbowの社内の様子や社員の魅力をお届けします!
インタビュー企画「#好きな形で働く」第1弾に登場してもらうのは、D&Iアワード運営事務局 事務局長の鈴木美帆。
日本から約8,000キロ離れたカナダからフルリモートで働くというユニークなワークスタイルや、「D&Iアワード」について、D&Iにかける想いを語ってもらいました。インタビューを通じて、「D&Iを社会のあたりまえに」を叶えたいという信念が伝わってきました。
「ビジネスを通じてD&Iを日本社会に広げていきたい」という想いから始めた仕事
―美帆さんが所属されている「D&Iアワード運営事務局」とは、どのような部署なのでしょうか?
鈴木美帆:まずそもそも「D&Iアワード」とは何かというと、JobRainbowが2021年度に設立した全国の企業のダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)の取組みを評価する認定表彰制度のことです。
D&Iアワード運営事務局とは、D&Iアワードの評価制度の策定や、アワードプログラムとしての仕組みづくりなど、運営全般を担う部署になります。その中でも私が主に担当しているのは、アワードの戦略や計画の策定です。
―アワードの方向性や戦略を立てる役割なんですね。その部署で美帆さんは、どんな業務を担当されているのですか?
鈴木美帆:具体的には、例えば、5年後アワードはどのようになっていきたいか、といったビジョンを考えたり、ビジョン実現のための戦略を立てたり企画をしたりしています。また、アワードを運営する上で、いつ何をして、どのように進めていくべきなのか、というような計画の策定もしています。
―美帆さんがJobRainbowに入社したきっかけを教えてください!
鈴木美帆:一言で言うと、ビジネスを通してダイバーシティ&インクルージョンを日本社会に広げていきたい、ということに興味があったからです。
もう少し詳しい背景をお話すると、元々大学でジェンダー学を学んでいたんですね。その中でどうしたら社会の差別構造を是正していけるのか、ということを考えていました。
そのアプローチとして、以前は、漠然と研究の道に進むのかなと考えていました。でも、自分で学びを進めていくうちに、アカデミアと実社会の乖離を実感したんです。アカデミアでは色々な論文が発表されたり、学会で色々な理論やディスカッションが進んだりしているけれども、その思想や知識が一般社会になかなか波及していないのではないか、というような漠然とした不安感やもやもやみたいな感情を抱くようになったんですね。
そこから、もしかしたら、ビジネスを使ってダイバーシティ&インクルージョンを波及させていった方が、より万人に対して影響を与えられるんじゃないかとを考えるようになりました。それがきっかけで、ビジネスの文脈でダイバーシティ&インクルージョンに携わっていきたいと決意して、JobRainbowのインターンポジションに応募することにしました。
組織の多様性から生まれる心理的安全性
―美帆さんはカナダからのフルリモートで働いているんですね。
鈴木美帆:はい、今カナダからフルリモートで働いています。フルリモートでも働きやすいですよ笑。
―JobRainbowでの働きやすさは、どのようなところにありますか?
鈴木美帆:メンバーの理解があるのが大きいです。
一緒に働いているメンバーが、フルリモートでの働き方や海外から働いていることを理解してくれていて、どうしたらコミュニケーションが取りやすいのか、時差があってもミーティングに参加しやすいのか、みたいなところを常に考えてくれるので助かっています。
制度が整っているという点もあると思います。例を挙げて言うと、3つくらいあるかと思います。
1つ目は、「フルフレックス制度」ですね。勤務時間帯が固定されておらず、自分の好きな時間に働けるというような制度になります。これがあることによって、(もちろん仕事の締切はありますが)、時差がある中でも日本時間の日中に合わせずとも、カナダの昼間(日本時間の夜中)に働けるなど、柔軟に動けるので非常に良いですね。
2つ目は、「バーチャルオフィス」の活用です。JobRainbowでは、Gatherというバーチャルオフィスを活用しています。アバターを使って、バーチャルオフィス内で他のメンバーとコミュニケーションが取れるようになってます。誰が働いているのかや、他のメンバーが何をしているかもわかりますし、バーチャル会議室でミーティングもできます。もちろん対面とは違うけれども、滞りなくコミュニケーションが取れたり、雑談もできたりするのでとても役に立っています。カナダにいながらも、バーチャルで他のメンバーと繋がっていられるのは良いですね。
3つ目は、「コミュニケーションポリシー」です。普段、会社全体でSlackを活用して連絡を取っているのですが、この「コミュニケーションポリシー」のおかげでフルリモートでも働きやすくなっています。
このポリシーというのが、「24時間いつでも連絡OK。メッセージの確認や返信のタイミングは受け手が決める」というものです。したがって、送り手としては、例えば日本の夜中にはちょっと送らない方がいいかな、などを考えずに自分の好きなタイミングで送れるんですね。特に時差がある状況の中で、コミュニケーションコストを減らせるためとても助かっています。
―フルリモートで働く上で困ったことなどございませんか?
鈴木美帆:困った点で言うと、やっぱり大きい障壁としては時差ですね。カナダと日本では13〜4時間の時差があるんですね。そうすると、たまにですが、社外ミーティングや、D&Iアワード運営事務局で対外的にセミナーやイベントの際に、日本時間に合わせて働く必要が出てくることがありますね。
―このような背景があるからこそ、カナダでのフルリモートが実現できるんですね。JobRainbowという会社について聞いてみたいと思います。JobRainbowで働く上での心理的安全性についてどう思いますか?
鈴木美帆:私の個人的な経験では、心理的安全性は高く感じています。その理由の1つとして、みんなが同じビジョンを共有している、ということがあると思います。
例えばJobRainbowという会社自体がダイバーシティ&インクルージョンに特化しているので、やはり社会を変えていきたいとか、D&Iを企業や社会で進めていきたいとか、みんな同じような課題感と方向性を持っているんですね。
ダイバーシティ&インクルージョンという1つの事象に対しても、共通の認識やビジョンを描いているというのは、一緒に仕事をする上でみんなが同じベクトルを向いていけるので、根本の思想に関するコンフリクトや齟齬が生まれにくい点に繋がっているのかなと思っています。(もちろん心理的安全性はそれだけではないですが)ブレない軸があるからこそ、もっとこうしていきたい、というモチベーションになっているような気もします。
D&Iの本質を忘れてはいけない
―次に、D&Iについてお聞きします。美帆さんにとって「D&Iとは何か」について教えてください。
鈴木美帆:「ダイバーシティ&インクルージョン」は最近あらゆるところで言われるようになってきていますよね。この言葉を改めて自分自身の言葉で再定義した時にどう言えるかなと考えたんですが、「既存の社会の差別構造を変革していくことを通じて、”個になめらかな社会”を未来に築いていくためのマッピングツール」ではないかと。
特に、今のビジネスにおけるダイバーシティ&インクルージョンは、「企業成長の手段」としてのD&Iという位置付けがかなり強いと思います。もちろんこの観点は非常に重要です。でも同時にそれと同じくらい重要なのは、D&Iの本質ではないでしょうか。D&Iの本質とは、「差別構造の是正」なのではないかと思っています。
というのも、今の社会において、あらゆる差別が制度や組織で内在化されて「当たり前」になることで、差別自体の存在が見えなくなってしまっています。でも、実際には機会の不公平や構造的な不公正が生まれているわけです。D&Iを通じて、そのような構造的障壁をどれだけ公平にしていけるのか、というところが重要だと考えています。それが見えなくなってしまって、企業が構造的不公平をそのまま再生産してしまっていたら、もったいないなと思うんです。これは理想論かもしれないですが。
もちろん企業である以上、成長していく必要はありますし、これからの社会でD&Iは成長に不可欠な要素になっていくと思います。でも、やはりD&Iの本質も忘れてはいけないなと。
だから、D&Iを再定義する上で、「既存の社会構造を是正するアプローチ」
なんじゃないかなと考えています。
日本社会において’’D&Iを社会のあたりまえに’’していくために。
ーでは、最後に美帆さんご自身のこれからのキャリアについて、もしこれから5年後、10年後の展望がありましたら教えてください。
鈴木美帆:難しいですね。まず、そもそもキャリアのお話の前に前提として、私のライフビジョンをお話しますね。私はライフビジョンとして、「ダイバーシティ&インクルージョンを社会のあたりまえにする」というのを掲げています。これはD&Iアワードのコンセプトである「D&Iを社会のあたりまえに」から来ているんですけど、そこは変わらずライフビジョンになっていくかなと考えています。
その上でこれから先どうしていくかという話ですが、今個人的な興味があることとしては、社会でよりD&Iを進めていくために、現在D&Iが進んでない業界・領域でD&Iに取り組んでいきたいと考えています。
具体的には、やはりスタートアップ業界がD&Iが進んでない領域の一つなのではないかな、と考えています。例えば、ジェンダーのところだけを切り取ってみても、ベンチャーキャピタリストの9割が男性だったり、起業家の9割が男性だったりと、多様性が欠如していると思います。今「スタートアップ元年」と言われているように、国として盛り上げていこうというスタートアップで、より多様性やD&Iが当たり前になっていくことによって、これから先の10年、何十年先の社会が、ディストピアではなく、D&Iが社会の当たり前になるようなユートピアに近い社会を作っていけるのではないかという夢を抱いています。
―ありがとうございます。ベンチャーキャピタリストが9割男性だと女性起業家が資金を集めにくかったり。。みたいな、構造的な課題ですね。そのような課題をどこかで断ち切っていくか、変化を恐れない勇気みたいなのが日本社会に求められていると思います。
鈴木美帆:そうですね、「変わる勇気」は本当に求められていると思います。
編集部のあとがき
#1 鈴木美帆の「#好きな形で働く」でJobRainbowの雰囲気を少しでも理解してもらえたでしょうか。年齢、場所、関係なく同じ志を持ったメンバーが働ける環境は本当に素敵です。美帆さんの強い信念と思いやりは社内メンバーへの強い「信頼」に結びついてると感じます。私も、美帆さんのように強い信念を持ち続けようと勇気をもらえました。
文:yuri
写真:mizuki
インタビュアー:ami