サイゼのワインで鬱憤を飲み込む
今週も生き延びた。
『今日は絶対に美味しいものをお腹いっぱい食べる!』
仕事中のふとした時に心の中で唱えて駆け抜けた11月29日金曜日
お腹いっぱい食べたい。それもアルコールとともに。
その欲望を安月給の20代が叶えるのにうってつけなのがサイゼリヤだ。
『サイゼいいな………』と一度頭の中に思い浮かんでしまうと打ち消すことが難しい。欲望を満たしてくれるこのチープさが魅力的すぎる。
退勤後、満員電車に駆け込む。サイゼリヤがある駅で途中下車。
ゆったりと歩くサラリーマンたちを足早に追い越す。もう頭の中はミラノ風ドリアでいっぱいだ。
行きつけの(?)サイゼリヤは2階にあって開放感がある。地下にある店舗が多いイメージなので、その窮屈感が無いのがとっても好き。
金曜日の21:00前、そこそこにぎわっている。3組ほど待っていたが、もう絶対にサイゼリヤを食べたかったので名前を書いて列に並んだ。
前の3組はすぐに呼ばれ、その後お会計が大賑わい。しばらく待ったが、待てば待つほど高揚感を味わえるので問題なさすぎる。
ついに私の名前が呼ばれた。
案内されたのは店内のちょうど真ん中の席。両隣では同世代くらいの男性たちが一人で食事をしている。右隣にいた男性のテーブルには半熟卵のミラノ風ドリア置かれていた。
運命かと思った。
というのも、ここ最近半熟卵のミラノ風ドリアを無性に食べたくなっていた。普段は卵の50円をケチってしまうので食べたことないのだが、ここ最近家でもゆで卵をとろとろ半熟で作ってその欲を満たそうとしていた。
21:00なんて夜遅くに炭水化物パレードすぎるドリアを頼むのは憚られるのだが、もうここは気合を入れて脂質と糖質を摂取しようと思う。
以前この店舗に来た時には紙に番号を書いて店員さんを呼んで注文をするスタイルだったが、スマホでQRコードを読み込んで注文するように変わっていた。極力人間と関わりたくないのでとっても助かる。
トトッと番号を入力し、メニューを見つめた。
脂肪になることを気にするのならそこで終わればいいのだが、久しぶりのサイゼリヤ……欲は無限に広がってしまう。
柔らか青豆の温サラダ、小エビのサラダ……好きなメニューを交互に見ながら、この日の中で最も真剣に考えた。
選ばれたのは、『辛味チキン』だった。
なぜ?????
注文の番号を入力する指と自問自答する。食べたいのだから仕方ないよねーーーーーー。
それに、赤デカンタ(500ml)
明日は休日なのでどうなってもいいのでね……。飲まなきゃやっていけないのよね。仕方ないよね。
これで1,050円。最高すぎる社会人楽しい
注文を送信し、目の前を見つめる。
四人掛けのそのテーブルでは、カップルが隣り合わせて座っていてイチャイチャしていた。恋人と外でひっつくことに抵抗を感じてしまうタイプなので、外でも心を開放することのできる彼らをちょぴっと羨ましく感じた。
最初に運ばれてきたのは赤ワインデカンタ(500ml)
私のデカンタと同時に、別のテーブルに届けるのであろう250mlも一瞬置かれた。500mlくらい飲めるでしょ🎶と高をくくっていたので、その差に唖然とした。
ちびちび飲みながら料理を待つ。
混雑してる店内、温かい料理が来るのは時間がかかるのは当然なので、すぐに届きそうなメニューを頼まなかったことに若干の後悔しながら500mlを減らす。
飲みやすいお酒だとぐびぐび流し込んでしまうので、夜をまったりと楽しめるワイン良いな~~~~~。
なんて思いながら、一週間頑張った自分を労った。
今週は長かった。
何度涙を流しただろうか、自分のできなさなんて考えだしたらキリが無くて心を何度も押し潰されたが、優しい言葉をかけてくれる同僚はいて、できないなりに仕事はこなせて、なんとか乗り越えられた一週間だった。
小さなご褒美をたんまり用意しながら、来週はちょっとだけ柔軟な心で、しなやかに、働けたらいいなあ。
そうこうしてるうちに!!!私のご飯が到着した!!!
下を向いてスマホとにらめっこしていた私が顔を上げると、にんまりと笑みを浮かべた外国人の店員さんが料理を置いてくれた。
こちらまでにっこりしてしまう。
私の半熟卵のミラノ風ドリアと辛味チキンが着席した。どちらが先に来るかな?と考えていたので、思いがけない同時到着が嬉しかった。
まず、辛味チキンにフォークを刺して両端を食べる。
コリコリとした香ばしさがたまらなかった。
それを十分に咀嚼した後にワインを口に入れてみた。ワインの飲み方なんて知らないが、ここはファミレス。好きに食べていい自由さが最高で、どんどんグラスの水分が減った。
チキンのおなかのジューシーさも幸せの味だった。最ッッッ高
もうほんとうに、もともとの美味しさに加えて金曜日の夜という開放感が味を引き立ててくれた。
4つの辛味チキンを独り占めしながら高校時代を思い出すなどもした。
友だちとそんなにお腹すいてないけど暇だね、って感じの時によくサイゼでだべっていたことが懐かしい。
ドリンクバーとあとなんかと、辛味チキンは2人で半分こ。あの頃は一皿で5個だったけど、どうやって2人で分けたんだっけ?
あの頃は昼食の定番だった(今も休日は昼食にすることは多いけど)ミラノ風ドリアも今はつまみになっている。
少々の感慨深さをもちながら、スプーンで大事に掬って冷たいワインと一緒に頬張った。
半熟卵を崩すタイミングは分からないまま、1/3ほど食べ進めてしまった。
高校時代に仲良かった友だちはいつも半熟卵のミラノ風ドリアを頼んでいたけど、どのタイミングで崩していたっけ?
仕事で気分が沈んでしまいがちな1週間だったことで、ついつい、過去の楽しかった記憶を思い出そうとしてしまった。
そんな小さなこと考えても思い出せないので、えいっと卵を崩す。
とろっと、香ばしいドリアの上でとろけた。
それもまた大事に大事に食べていたが、温かい鉄板の上だとなんだか固まっていくのか。
弾力を増した半熟卵を大きめに掬って食べました。
ワインをピッチャーの半分ほど飲んだころワイン耐性なんぞ無いということを思い出す。
ちょっとばかし酔いが回ってきた……次は250にしようと固く決意。
それでも目の前にはまだあるワイン。
酔いが回ってきたせいか飲みやすくはなっているから、今あるつまみでどうにかなるかもしれないけれどきっと足りない……そんなことを考えながら欲望に打ち勝てなかった私。
エスカルゴのオーブン焼きを頼んでしまいました……。
弾力のあるエスカルゴに触感のある野菜たち、ガーリックがふんだんに香るぐつぐつとしたオリーブオイル。たまらないのよね……
今回はフォッカチオは我慢したので許してほしい(何に?)
チキンとドリアを食べ終え、ちびちびと飲みながら待つ。料理じゃなくてドリンクバーを頼んでデカンタと戦うのもよかったかもなあ、なんて考えながら料理の到着を待った。
料理が届いてからはもう夢中。
このぐつぐつと煮え立つ間に頬張りたい一心で口に運ばれるエスカルゴと野菜とオリーブオイル。
スプーンで掬っても完全にはオイルを救出できず、フォッカチオを頼まなかったことを後悔もした。次回はそうする。(欲に忠実で可愛い)
そんなこんなで料理を頬張っているうちにワインのグラスは綺麗に空いた。おいしい、幸せ、だが次は適量にしようと誓った22:00ごろでした。
お会計1,450円
限界社会人にとってはリッチな夕食だけど、こんな日があってもいいよね。
セルフレジで決済し、次は何食べようかな〜と期待を込めて退店。
帰りは酔っぱらいながらも40分ほど歩いて帰った。
歩くことによって追加分のカロリーは消費されますように。
心がくたびれそうだったり、仕事との向き合い方が分からなくなったりすることはたくさんあるけれど、鬱憤をちびちびと飲み込みつつ、どうにか晴れますようにと祈りながら、毎日生きていこうねーーーーーー社会人。