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ベトナム料理といえば、ヌクマム。フーコック島でのしょっぱい思い出

シンチャオ! ベトナム料理好きのわん吉です。

ベトナム料理になくてはならない調味料といえば、なんでしょう?
答えは、そうです、ヌクマム(Nước mắm)!
(※ベトナム風に言うとヌッ・マー↗︎ム)

日本人にとって醤油がなくてはならない味であるように、ベトナム人にとってなくてはならない味がヌクマムです。

ヌクマムは、イワシなどの青魚を塩と混ぜ、発酵させて作る魚醤です。



ベトナム料理に欠かせない調味料、ヌクマム

揚げ春巻きやバインセオなどのタレに入っている、薄茶色のちょっと臭い感じ。ベトナムの煮物や焼き物から漂ってくる、ちょっと独特の臭さ。食堂のテーブルに置いてある、ちょっとべとべとした小ぶりの細長いプラスチックボトル。

あの、プーンと臭く香る正体が、ヌクマムです。

最初はなんじゃこりゃ、臭いなぁ、なんて気になってしまいますが、不思議なことにだんだんと気にならなくなり、しまいにはヌクマムなくしてベトナム料理にあらず、と豪語するくらいのファンになってしまいます(わん吉実体験)。

ブンチャーのタレももちろんヌクマム入り
お肉のつけダレもヌクマム風味


のどかなフーコック島はヌクマムの里

そのヌクマムは、ベトナムの南西端に浮かぶフーコック島(Phu Quoc)が名産地として知られています。

ほとんどカンボジアに近いこの島へは、ホーチミンから飛行機で1時間。国際空港も完成した今は海外観光客で賑やかのようですが、10年前に訪れた時は、のどかな田舎の島でした。

自由な牛たち
何もない素朴なビーチ
サンセットタイムがきれいでした


ヌクマム工場へ行ってみた

フーコック島を代表するものは、ヌクマムと胡椒と、フーコック犬(絶滅危惧種らしいです)。漁業も盛んな島なので、行ったらシーフードを食べるべし、イカがおすすめ、と言われています。

さて、せっかくフーコックへ行ったので、ヌクマム工場へ行ってみました。屋根のある大きな空間に巨大な樽が並んでいて、さながら醤油工場のようです。

巨大な樽が並ぶヌクマム工場

熟成中のヌクマムがなみなみと入った大樽たち。一年間熟成させるとのこと。

みなさん、想像してみてください。この状況を。ここに立っているだけで、ただならぬ香りに圧倒されてしまいます。

樽にはしごがかかっていたので、工場のお兄さんに「登ってみていい?」と聞いてみました。すると「いいよ!」との快い返事。

恐る恐る登ってみると‥

なみなみのヌクマムにさらに圧倒される。浮かんでいるのはおそらく塩分の結晶

「おぉ…」と息を呑みました。熟成ヌクマムの濃い色と強烈な香り。一緒にいた友人は悶絶しておりました。

はしごからおりると、お兄さんが「あそこで毎朝アンチョビが揚がるんだ」と教えてくれました。

工場敷地内にある港直結の水揚げ場。アンチョビが揚がるそうです

アンチョビ…。カタクチイワシを塩漬けにしたもの。
お兄さんは親切心でわかりやすい説明をしてくれたのだろうに、海で泳いでいるアンチョビを想像した途端、笑いのツボにはまってしまいました。


ヌクマムは飛行機に乗れない

せっかく工場に行ったのでヌクマムを何本か購入。その後、フーコック島の空港から空路ホーチミンへ戻ることになっていました。

ところが‥‥荷物チェックでヌクマム没収。なぜ?なぜ?と尋ねると、ヌクマムは荷物に入れて運べないという決まりなのだそうです。どうやら、ヌクマム容器が壊れた場合の損害が甚大だから、という理由のようでした。

しょんぼりしていると、空港内でヌクマムが販売されているではありませんか。ここで買うと、ホーチミンで受け取り、という方法でヌクマムを持ち帰れるそうです(10年前のことなので今はどうでしょうか?)。


おいしいベトナム料理を食べていると、たまにフーコック島で体験した悲喜交々のヌクマムのことを思い出します。あぁ、フーコック島もまた訪れたいなぁ。



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