他空派の宗論③
第五項[主張の特徴]に、[基][修行道][結果]の三より、
第一項[基]において、[基のさまざまな説明][自派の特性][二諦の構成を説く][四聖諦の構成を説く]の四より、
第一項[基のさまざまな説明]
『倶舎論(くしゃろん)』より、「色などの五蘊は、まさしくそれらにおいて話の基であり」などによって、色などの五蘊に含まれた諸々の有為の法(現象)は、話のもとである面から「基である」と説かれたことと、
『現観荘厳論(げんかんしょうごんろん)』より、「それからまさしく一切知」などによって、蘊・界に含まれた諸々の現象は、性質のよりどころである主体である面から「基である」と説かれたことと、
『阿毘達磨経(あびだつまきょう)』より、「無始の時をもつ界」などのテキストの意味を『摂大乗論(しょうだいじょうろん)』に説かれたごとくであれば、アラヤ識は善不善の全ての習気が沁みつく基、よりどころである面から「基である」と説かれたことと、
『量評釈(りょうひょうしゃく)』より、「符号の部分である思考者が、欲す通りに(解釈)する基」などによって、諸々の現象は言葉によって述べられる対象である面から「基である」と説かれたことと、
他にも、それから枝が生える根もとを「基」といい、
分類されたものごとの分かれたもとを「基」というなど、多くある。
目次の最初に出てくる[基][修行道][結果]とは、仏教哲学を説明する時に使われる
分かりやすく分けられた項目である。
その順番にも意味がある。
[基]とは、ベース。
我々をとり巻く世界、存在するものの分類や、
そのあり方について説明する部分。
修行について説く前に
全てのものごとは
どのように成立しているかを知る。
[修行道]とは、
その世界の中で、
特定の結果(解脱や仏陀の境地等)を得るために
修行をする道(意識)をいう。
どのような修行をするのか
説明する部分である。
[結果]は、
その修行をしたことによって得られる結果。
このテキストでは、
仏陀の境地とはいかなるものかを
説明する部分である。
第一の「基」においても、
①「基」という語にはさまざまな解釈があること
②[自派の特性]で
他空派の特化した主張
③[二諦の構成を説く]では
存在するものを
究極のあり方(勝義)と
それ以外のもの(世俗)に分けて説明し、
④[四聖諦の構成を説く]では
存在するものを
結果である苦しみ(苦諦)とその原因(集諦)という
苦しみの因果と、
苦しみが無くなった状態(滅諦)とそれを得るための修行道(道諦)という
浄化の因果に分けて説く。
さて、第一項の[基のさまざまな説明]の中にも、初めて仏教テキストを見る方にとっては
知らない言葉があるかもしれない。
次回は本項に出てくる言葉について
少し説明をするので、
意味をもうご存知の方々は
飛ばしてね。