口伝6日目:経典のバージョン
今日午前中に
戒律についての8巻目が終わり、
午後は9巻目から始まった。
先生が受けた経典の口伝は
ナルタン版、
今口伝をなさっているのは
リタン版である。
経典は同じだから
巻数も同じだろうと思っていたら、
違った。
紙の大きさで
印刷する文字の量も違ってくるらしい。
チベットの印刷所を
「パルカン」というが、
そういえばそれぞれの印刷所に
「パルシン(版木)」が保管されていたと
聞いたことがある。
チベットには
薄くて軽くて、
虫がつかないように薬草が漉き込んである
「プゥシュ(チベット紙)」という特別な紙があり、
お経はそれに印刷したそうだ。
長く保存することを初めから考えていた。
最近は沢山の仏教テキストが
書籍の形で出版されているが、
研究職にある人々は
昔ながらのお経をもとにする。
昔ながらのお経の方が
間違いが少ないからだという。
今はコンピューターで打ち込むので
早いし訂正も効く。
そのせいか
誤字脱字が多いそうだ。
それに対して昔ながらの版刷りは
1枚の版木を彫る時
1文字間違ったら1枚彫り直さなければならないので
非常に注意深く、集中して校正したらしい。
結果、
昔ながらの長方形の紙に刷られたテキストの方が、
信頼に足るものになった。
それほどに
お経になるまでの過程も
細心の注意を払って作られている。
現在、現物や写真・pdf等で広く知られている
経典はデルゲ版だ。
デルゲ版では
戒律について 13巻
般若(智慧)について 21巻
華厳について 4巻
宝積(ありがたい教えの集積) 6巻
経部(禅定等)について 32巻
密教について 20巻
古密教について 3巻
陀羅尼(真言)集 2巻
無垢光(時輪金剛) 1.5巻
目録 0.5巻
(無垢光上巻1巻、
無垢光下巻+目次1巻)
合計103巻となっている。
ダライラマ法王の法話で、よく
「経典は100巻ほど」とおっしゃるのは
デルゲ版のことなのだろう。
先日ある先生からシェアしてもらった
ナルタン版の目録はこちら。
戒律について 13巻
般若(智慧)について 21巻
(般若十万頌/12巻+二万頌/3巻+
一万八千頌/3.5巻+般若雑経/0.5巻+
一万頌/1巻+八千頌/1巻)
華厳について 6巻
宝積(ありがたい教えの集積) 6巻
経部(禅定等)について 30巻
涅槃経 2巻
諸経部 21巻
合計99巻となっている。
ラサ版の巻数はナルタンと同じ99巻。
ラサ版はデルゲ版とナルタン版をもとにして作られているから、
構成もナルタンと似ている。
経部の中に涅槃経2巻が含まれて 32巻
密教について 21巻
他は同じだ。
ナルタン版の「諸経部」は
ラサ版や
他バージョンの経典の構成から考えると
密教経典なのだろう。
ナルタン版で口伝を受けたリンポチェが
以前口伝をなさった時には、
ラサ版を使われたそうである。
ラサ版は文字が小さくて読み辛いという理由から、
今回はリタン版を読んで下さっている。
さて、リタン版の構成は以下の通り。
戒律について 13巻
般若(智慧)について 26巻
華厳について 6巻
宝積(ありがたい教えの集積) 6巻
経部(禅定等)について 32巻
密教について 24巻
無垢光(時輪金剛) 1巻
目録 1巻
後書 1巻
合計110巻である。
版の違いで巻数が異なる場合があるので
分かりやすく項目を揃えて記したが、
版によって項目の順番は違う。
版木を使って印刷されるまで
経典も他のテキストと同じように
1枚ずつ手書きで複製されてきた。
それを全て1枚1枚の版木に彫って
大量に印刷するとは
まるで産業革命のようなことが
チベットで起こったらしい。
リタン版は最も古い版で
紙も文字も大きくて読み易い
ということは
レイアウトがゆったりとしていて
大巻になり易いということでもある。
歴史的には、前後して
リタン版 1608〜1621年
ナルタン版 1730〜1732年
デルゲ版 1729〜1733年
ラサ版 1934年〜
となる。
今回目録を調べるにあたり、
日本から参加されている中国人のお坊さん
李さんにお世話になった。
経典の異なる4バージョン等
諸々の仏教テキストが観覧・ダウンロードできるアプリを教えて下さり、
『新編 大蔵経ー成立と変遷』
(京都仏教各宗学校連合会編・法蔵館発行)
という書籍から
参考資料を写メして送って下さった。
教えて頂いたアプリ、
非常に優れものだったので
ここでシェアする。
もうご存知の方も多いと思うが、
ADARSHAHというアプリで
驚くほど大量のチベット語テキストを
検索・ダウンロードできる。
経典をチベット語でカンギュルというが、
カンギュルだけで4版載っている!
マニアには超嬉しいアプリである。
https://apps.apple.com/app/id1623792719
さて、
先生はひたすらに読み続けている。
聴いている弟子は、感謝をもって
各々日課のお祈りをしたり、拝んでいたり、
僧院の内職のお守りを作ったりしている。
筆者は午前中は日課のお祈りをして
午後はブログやメルマガを書いている。
先生は言うまでもない。
皆んな何かしら
衆生の幸せに繋がることを
しようとしている。
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お医者さん、菩薩行者からのお知恵を拝借。
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