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長ねぎを育てた時のこと【地獄編】

私は2年間、長ねぎを育てていた時期がありました。
 
年間で1トン以上、出荷していました。

本業ではなく副業としてはじめました。

ほんとは、仕事を辞めたくてやめたくてしょうがない時に、どこかに活路を見い出したかったのかもしれません。

もともと実家が果樹農家で、休耕畑となっていた畑を借りてチャレンジしてみました。

仕事帰りに作業をしていたので、身体はボロボロ。

寿命は3年縮まりました。

でもそこから得た経験もなかなか深いものでした。



【地獄編スタート】

栽培期間の長さ

長ねぎは手間のかかる作物です。

3月くらいから種をまき、翌年の2月くらいまでおよそ1年間なにかしらの作業をします。

・種まき
・水やり
・ハウス作り
・畝作り
・定植
・草取り
・防除
・肥料散布
・土寄せ5回
・収穫
・出荷

この中で一番楽な作業は肥料散布でした(笑)

土寄せなんて、ネギを白くするために5回もやらなきゃいけないのですが、最後はうちの耕運機では土が上がらず、地面に這いつくばりながら手で土をあげていました。


その中でも過酷で脳裏に浮かぶのが、

朝5時に起きて、夕方5時まで永遠と草むしり

これはキツかった。

当時、ボディコンテストの大会にエントリーしていたので、草取り作業を少しサボっていたら、7月あたりに雑草がネギを覆いつくし、栄養が奪い取られてしまう状態になってしまいました。

今、思えば他にも対処法はありましたが、

1年目の私にはわかりませんでした。

朝の5時から黙々と雑草と戦いました。

人生でこんなにも草むしりをした経験はありませんでした。

「私は今、修行をしているんだ!」と自分にいい聞かせながら、延々と雑草をむしっていました。

3分の2は綺麗に、左側はまだ雑草が残っている状況です。

この修行の成果で、草むしりに使っていた

人さし指が中指よりも太くなりました。

よく生えていた雑草のうち、スベリヒユについては栄養価も高く健康にもいいので、茹でて食べていました。

スベリヒユ
おひたしにして

1トンを超えるネギの収穫、出荷作業

これもなかなかというか、かなりえらかったです。

冬は雪も降るので、ネギの葉(緑の部分)が傷まないように、ある程度収穫を最優先させます。

土が凍っているので、太陽の陽が出て気温が上がってから収穫します。

そうしないと土にスコップが刺さりません(笑)

大雪予報が出たら地獄です。

いっきに収穫します。

下の写真の量を捌きます。

これでも全収穫量の3分の1くらいです。

1年目だったので、一気に収穫しすぎました。

凄い量ですよね?

ネギの山

出荷作業は、綺麗な葉を残して他の葉を切ります。

それを規格に応じて袋詰めし、段ボールに入れます。

切ってもきっても無限にネギが登場します。

無限ネギ地獄です。

不思議なのは、出来の良いネギは100本に1本、他の6割は並、その他は…ペケちゃん。

人間とネギも同じなのです。

出荷作業ではハサミを使いすぎて、右手が腱鞘炎になりました。

湿布を貼って作業をしていたら、かぶれて真っ赤になり、病院の看護師さんに驚かれました。

痒いし痛いし、泣きっ面に蜂とはこのことです。

氷点下の小屋では、朝の6時から作業します。

そうしないと出荷に間に合いません。

靴下にはホッカイロを貼らないと足先が寒さでやられます。


そんなこんなで、出来たネギ。

信じられないかもしれませんが、最初のネギにはハサミを入れられませんでした。

我が子のように思えたからです。

それほど愛情を込めて育てあげました。

綺麗でしょ?

長ねぎをゼロから育ててみて、

・スーパーのねぎの出来や手間のかかり具合、鮮度がわかるようになった。

・ねぎ畑の規模をみると、作業量と利益予想ができるようになった。


最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました。

長ねぎを育てる中で経験した地獄をツラツラと語らせていただきました。

一つわかったことは、

農業は凄い大変!

ということ。

農業に限った話ではありませんが、やってみないと本当の大変さはわからないですね。

農家の人たちの喜びは、「おいしかった」の一言。
それに集約されるといっても過言ではないでしょう。

大して儲かりません。

人件費入れれば大赤字です。

季節がら、ご家庭でお野菜を食べられる機会も多いと思います。

少しでも、農家さんの努力を労い食べていただけると、いち経験者として嬉しいです。


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